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2022 年度 実績報告書

免疫抑制分子HLA-Gアイソフォームを特異的に機能阻害する腫瘍治療抗体医薬品開発

研究課題

研究課題/領域番号 22H02749
配分区分補助金
研究機関北海道大学

研究代表者

黒木 喜美子  北海道大学, 薬学研究院, 准教授 (90553313)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードHLA-G / 免疫抑制 / 抗体医薬品
研究実績の概要

既に作製・保有していたラット抗HLA-G抗体ライブラリーを用いて、多様なHLA-G分子種を特異的に認識できるクローンやHLA-G分子種を広く認識し、受容体との結合を阻害可能な抗体など抗体のキャラクタリゼーションを進めた。
本年度は、免疫抑制受容体を介して腫瘍細胞が発現するHLA-Gが誘導する免疫抑制・自己寛容をブロック可能な抗体候補について着目し、特に中心的に解析を進めた。まず、抗原HLA-Gとの結合親和性およびカイネティクスを明らかにするため、単クローン化済みの抗体について、ハイブリドーマ上清から精製し、表面プラズモン共鳴法による相互作用解析を実施した。その結果、解離の速い抗体については、機能阻害が困難であると判断し、機能阻害候補抗体から除外した。次に、受容体組換えタンパク質も調製し、表面プラズモン共鳴法を用いたHLA-Gと受容体との結合阻害能を解析した。2種類の阻害解析系を構築し、両方の系において結合阻害能の高かった上位クローンをHLA-G機能阻害可能な候補クローンとして複数選別することができた。さらに、これらの候補クローンの配列同定に向けて、ハイブリドーマ細胞からmRNAを抽出、cDNAを調製し、ラット抗体特異的混合プライマーを用いて配列決定を開始した。
一方、HLA-G分子は多様な分子形態を持つことによって受容体特異性や親和性を変化させ、免疫抑制機能を制御している。これら各種HLA-G分子について、分子種特異的に結合可能な抗体の同定も進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年の計画としていた、各抗体クローンについて、抗原との結合解析を多面的に進めることができた。表面プラズモン共鳴法により、ELISAによる抗原特異性スクリーニングからは得られなかった抗原との結合親和性やカイネティクスが明らかとなり、HLA-G機能阻害抗体候補を選別することができた。さらに、受容体との結合阻害能を表面プラズモン共鳴法により解析することにより、候補クローンを複数個にまで絞ることができた。次年度に予定していた候補抗体の配列決定も進行中であり、順調に進展している。

今後の研究の推進方策

次年度は、既に開始している候補抗体の配列決定を塩基レベル、N末シークエンスを用いたアミノ酸レベルでそれぞれ決定・比較し、単クローン化の確認と配列同定を完了する。完了したクローンから組換え抗体断片としての発現系を構築し、大量発現後、抗体の分子認識機構を明らかにするために立体構造解析を実施する。
さらに、結合阻害能が見られた候補抗体が、実際に細胞レベルでの受容体シグナル阻害活性を持つか細胞アッセイにより明らかにする。
シグナル阻害活性が十分ではない場合、決定した抗体配列の最適化も検討することにより、臨床応用可能な候補抗体を得る予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 腫瘍免疫活性化を目指したHLA-G抗体スクリーニング2023

    • 著者名/発表者名
      下柿元咲瑛、黒木喜美子、引地和馬、赤岩愛記、古川敦、前田直良、前仲勝実
    • 学会等名
      日本薬学会 第143年会
  • [学会発表] 免疫抑制分子HLA-G2のバイオ医薬品開発に向けた哺乳細胞発現系の検討2023

    • 著者名/発表者名
      山本 亮太,黒木 喜美子,渡邊 紘士,前仲 勝実
    • 学会等名
      日本薬学会 第143年会

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公開日: 2023-12-25  

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