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2023 年度 実績報告書

ヒト前頭葉脳オルガノイドを起点としたin vitro病態モデルを用いた創薬戦略

研究課題

研究課題/領域番号 22H02771
配分区分補助金
研究機関名古屋大学

研究代表者

小坂田 文隆  名古屋大学, 創薬科学研究科, 准教授 (60455334)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード神経オルガノイド / アセンブロイド / CRISPR-Cas9 / 前頭葉 / 視床 / 領域間相互作用 / 神経回路トレーシング / シナプス
研究実績の概要

創薬開発において神経・精神疾患分野で新薬が承認される確率は極めて低い。その原因として、統合失調症などの精神疾患では、ヒト高次脳機能を担う前頭葉に機能異常が認められるにも関わらず、ヒト前頭葉の機能を模した評価系がないことが挙げられる。この問題点を解決するために、本研究では、ヒト多能性幹細胞(iPS細胞)から前頭葉オルガノイドと異なる脳領域オルガノイドを誘導し、それらを融合させることで前頭葉アセンブロイドを作製し、領域間相互作用をin vitroで再構成し、ヒト前頭葉機能をin vitroで再現することを目指す。
まずヒト脳における大脳皮質と視床の相互作用をin vitroで再構成するために、前年度にCRISPR-Cas9により樹立した緑色蛍光タンパク質のEYFPをKnock-inしたヒトiPS細胞株と、赤色蛍光タンパク質のmCherryをKnock-inしたヒトiPS細胞株を使用し、ヒトiPS細胞より大脳皮質オルガノイドと視床オルガノイドを誘導した。EYFPで標識した大脳皮質オルガノイドとmCherryで標識した視床オルガノイドを誘導し、大脳皮質-視床アセンブロイドを作製した。大脳皮質-視床アセンブロイドの領域間相互作用として軸索投射に着目した。EYFPで標識された大脳皮質オルガノイドの軸索が視床オルガノイド側に進展し、mCherryで標識した視床オルガノイドの軸索が大脳皮質側に進展した。アセンブロイドを透明化して、双方向性の軸索投射を経時的に定量評価した。
次に、アセンブロイド内で形成される双方向性の軸索投射によりシナプスが形成されているかを評価するために、ウイルスベクターを用いた神経回路トレーシング法を用いることを考えた。神経回路トレーシング法を使用するために、ウイルス受容体およびウイルスエンベロープ糖タンパク質を発現するヒトiPS細胞株、コントロールとしてウイルス受容体のみを発現するヒトiPS細胞株をCRISPR-Cas9を用いて樹立した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒト脳の領域間相互作用をin vitroで再構築するために、ヒトiPS細胞から大脳皮質オルガノイドと視床オルガノイド、さらにはアセンブロイドの作製に成功し、軸索投射などの領域間相互作用の組織学的な解析が進んでいることから、順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

今後は、ウイルスベクターや2光子イメージング、光遺伝学などを用いて、アセンブロイド内のシナプス形成や神経活動などの評価を進める予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 6件)

  • [雑誌論文] Modeling the marmoset brain using embryonic stem cell-derived cerebral assembloids2023

    • 著者名/発表者名
      Tomoki Kodera, Ryosuke F. Takeuchi, Sara Takahashi, Keiichiro Suzuki, Hidetoshi Kassai, Atsu Aiba, Seiji Shiozawa, Hideyuki Okano, Fumitaka Osakada
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 657 ページ: 119-127

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2023.03.019

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 狂犬病ウイルストレーシングを用いたマルチスケール神経回路解析2023

    • 著者名/発表者名
      釜口 力, 小坂田 文隆
    • 雑誌名

      日本神経回路学会誌

      巻: 30 ページ: 56-65

    • DOI

      10.3902/jnns.30.56

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 神経回路機能解析のための細胞種特異的な標識と光学イメージング2023

    • 著者名/発表者名
      竹内 遼介, 小坂田 文隆
    • 雑誌名

      医学のあゆみ

      巻: 286 ページ: 372-379

  • [学会発表] オルガノイドを用いた大脳皮質神経回路の構成的理解に向けて2024

    • 著者名/発表者名
      小坂田文隆
    • 学会等名
      第101回日本生理学大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 予測情報処理の脳内メカニズムの解明に向けて2023

    • 著者名/発表者名
      小坂田文隆
    • 学会等名
      Neuroscience Institute セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] 22.Rabies viral tracing in the mouse visual system and human brain organoids2023

    • 著者名/発表者名
      Fumitaka Osakada
    • 学会等名
      The 16th Annual Meeting of Chinese Neuroscience Society & The 2nd CJK International Meeting
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 予測情報処理の脳内基盤の解明に向けて2023

    • 著者名/発表者名
      小坂田文隆
    • 学会等名
      第 73 回脳の医学・生物学研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] あいまい環境に対峙する 脳・生命体の情報獲得戦略の解明2023

    • 著者名/発表者名
      小坂田文隆
    • 学会等名
      第33回日本神経回路学会全国大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 高次脳機能研究の最先端:新時代の研究手法と多角的な理解2023

    • 著者名/発表者名
      小坂田文隆
    • 学会等名
      第15回 脳科学若手の会 関西部会セミナー
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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