研究課題/領域番号 |
22H02776
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
東田 千尋 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (10272931)
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研究分担者 |
川口 善治 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (00262527)
稲田 祐奈 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (40835154)
箭原 康人 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授(常勤) (60456390)
楊 熙蒙 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (80818922)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 頚椎症性脊髄症 / 軸索修復 / 植物性医薬品 / ニクジュヨウ / アクテオシド |
研究実績の概要 |
1)頚椎症性脊髄症モデルマウスでの薬理試験:マウスの頸椎を金属製のネジで慢性的に圧迫することで、頚椎症性脊髄症の臨床症状(前肢を中心とした運動機能の低下等)を呈し、かつ重篤度や発症に要する期間を定量的に調節できるモデルを用いた。運動機能はinclined wire mesh climbing test、inverted wire mesh test、ladder walking test、握力により評価した。本モデルに対して、ニクジュヨウエキスを経口投与すると運動機能が改善すること、ニクジュヨウエキス中の活性成分であるacteosideを経口投与しても運動機能が改善した。またacteoside刺激による神経細胞内の分子シグナリングを網羅的に検討するため、初代培養大脳皮質神経細胞にacteoside処置し対象細胞と比較してのbulk RNA-seq解析することに着手した。 2)ニクジュヨウエキスの臨床研究:特定臨床研究「頚椎症性脊髄症に対するニクジュヨウエキスの有効性を検討するランダム化二重盲検群間比較試験」を実施し、目標であった40人の被験者組み入れまで進んだ。頚椎症性脊髄症の診断基準を満たし、かつスクリーニング時の頸椎JOAスコアがおおむね8点以上かつ15点の、40歳以上85歳以下を被験者とする。投薬期間は24週間、試験薬のニクジュヨウエキスは2400 mg/日を用量とする。主要評価項目は、頸椎JOAスコア、JOA Cervical Myelopathy Evaluation Questionnaire、身体診察所見、EQ-5D、Visual Analog Scaleである。 3)ニクジュヨウエキスの規格作成:基礎研究および臨床研究で使用しているニクジュヨウ(Cistanche tubulosa)の30%エタノールエキスの規格を作成し、公定書収載に向けての準備を終えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
頚椎症性脊髄症のモデルマウスを用いての薬理研究では、運動機能障害に対するニクジュヨウエキスとacteosideの改善効果を昨年度に引き続き確認することができた。またacteosideの分子メカニズムを探索するために、初代培養神経細胞を用いたRNA-seq解析に着手し、網羅的解析を目指した一歩を踏み出した。臨床研究においては、目標の症例数を達成するために組み入れ期間を6か月延長した結果、40人に到達した。またニクジュヨウエキスの規格化は目途が立ち、あとは公定書に収載するルートに載せる段にいる。
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今後の研究の推進方策 |
1)令和6年度は、acteoside投与により軸索が伸展する機序の解明を目指して、初代培養神経細胞にacteosideを投与し変化するmRNAをRNA-seqにより解析する。発現量が増減する分子群を同定し、それら個々の軸索伸展への関与を、ノックアウト実験と過剰発現実験により検討する。まず初代培養神経細胞を用いたin vitro実験での検討の後、AAVベクターを用いたin vivoでの検討を、頚椎症性脊髄症モデルマウスで行う。例えば、分子をAAVベクターに構築しモデルマウスの特定の神経核に過剰発現させ、軸索密度が回復するか、運動機能が回復するか、骨形成への影響はどうかなどを検証する。
2)特定臨床研究「頚椎症性脊髄症に対するニクジュヨウエキスの有効性を検討するランダム化二重盲検群間比較試験」の組み入れが昨年中に終了した。被験者は、頚椎症性脊髄症の診断基準を満たし、かつスクリーニング時の頸椎JOAスコアがおおむね8点以上かつ15点の、40歳以上85歳以下を被験者とする。投薬期間は24週間、試験薬のニクジュヨウエキスは2400 mg/日を用量とする。主要評価項目は、頸椎JOAスコア、JOA Cervical Myelopathy Evaluation Questionnaire、身体診察所見、EQ-5D、Visual Analog Scaleである。今年度早々に、被験者のvisitが終了するので、データ固定の後、解析を実施し論文化に進む。
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