研究課題/領域番号 |
22H02784
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
東 大志 熊本大学, 大学院先導機構, 准教授 (20613409)
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研究分担者 |
松本 孔貴 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70510395)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ポリロタキサン / フェニルボロン酸 / 中性子補足療法 / ポリエチレングリコール / 超分子 |
研究実績の概要 |
今年度はまず、フェニルボロン酸 (FPBA) を修飾したポリロタキサン (FPBA-PRX) を構築し、がん中性子補足療法 (BNCT) のためのホウ素薬剤としての可能性を評価した。FPBA はがん細胞表面に高発現するシアル酸を認識し、がん細胞と強固に結合する。PRX に FPBA を修飾すると、PRX の可動性により、FPBA ががん細胞のシアル酸の空間的分布を認知しながら多価相互作用できるため、高いがん選択性を示すことができる。重要なことに、FPBA-PRX のがん細胞への取り込みは、一般的な高分子であるデキストラン (DEX) に FPBA を修飾した FPBA-DEX よりも顕著に高かったことから、PRX 構造による FPBA の可動性が重要であることが示唆された。 シアル酸はがん細胞ほどではないものの、他の細胞にも一定量発現している。そこで、FPBA-PRX のがん選択性をさらに向上させるため、がん組織に到達するまで FPBA にふたをし、がん組織に到達した時点でふたが外れる工夫を施した。すなわち、カテコール修飾 PEG を合成し、FPBA-PRX に結合させた。カテコール修飾 PEG 中のカテコール基は、中性 pH で FPBA-PRX のボロン酸に結合したが、弱酸性条件下でこの結合が解離し、FPBA がフリーになる結果、細胞内に取り込まれることが示唆された。すなわち、カテコール修飾 PEG と結合した FPBA-PRX は、血中の中性 pH では FPBA 部がふたをされており、シアル酸と結合できないのに対して、がん組織の弱酸性条件下ではふたが外れ、がん細胞のシアル酸と FPBA が結合できる結果、がん選択的に取り込まれることが示唆された。 以上、更なるがん選択性を示すホウ素薬剤を構築することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の予定は、カテコール修飾 PEG を合成し、FPBA-PRX との結合や細胞内取り込みを評価することであったが、当初の予定通り実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、更にがん選択性を向上させるため、FPBA-PRX にリガンド修飾を施す。がん細胞に対する細胞内取り込みを評価すると共に、競合阻害や受容体ノックアウトの影響を検討する。さらに、抗がん活性を in vitro で評価する。
さらに、抗がん剤との併用療法の確立を目的として、抗がん活性を有するタンパク質を混合し、FPBA-PRX と複合体を形成させる。複合体の形成を、粒子径、ゼータ電位、サイズ排除クロマトグラフィー、ITC 等で確認する。
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