研究実績の概要 |
Ci-VSPについて活性中心領域の単一アミノ酸変異によって電位センサーから酵素活性への共役効率を増強できることを確認した。またcaged lysine実験系のコントロール実験を行うとともにGABA(A)Rについて変異実験と分子動力学計算によりPI(4,5)P2感受性に関わるアミノ酸部位の特定を試みた。 ① Ci-VSPのK365がメチオニンに置換された変異体についてホスホイノシチドセンサーによる計測において、変異体ではPI(4,5)P2およびPI(3,4)P2に対する脱リン酸化活性のいずれも野生型に比して増強していた。K365M変異体はマラカイトグリーンアッセイにより野生型と比較して基質特異性の相違は見られず、共役効率が増強していると考えられた。ゼブラフィッシュVSPのアミノ酸変異体においても同様であった。 ②HCKの取り込み効率をPLC-delta PH domain (K30TAG )EGFPの膜へのターゲットによる蛍光増加により確認しcaged lysineの分子ツールが機能することを確認した。 ③神経細胞に発現するカリウムチャネルKCNQ3TのLys260をHCKに置換した分子が細胞膜に発現することを確認した。 ④GABA(A)Rについて、VSPによるPI(4,5)P2枯渇のチャネル活性への影響を調べた。内向き電流計測では卵母細胞由来の内在性電流が重なり定量的評価が難しく、脱分極時の外向きGABA(A)R電流を指標にすること等により定量する手法を確立した。野生型GABA(A)RではVSPによるPI(4,5)P2 枯渇での電流量の変化が見られない一方M3-M4ループの塩基性アミノ酸の変異分子ではPI(4,5)P2枯渇により電流の減少が観察された。 ⑤GABA(A)Rについて粗子化モデル分子動力学計算をおこないPI(4,5)P2が細胞内側塩基性アミノ酸に隣接する状況が観察された。
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