研究課題/領域番号 |
22H02837
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
外丸 詩野 北海道大学, 大学病院, 准教授 (20360901)
|
研究分担者 |
石津 明洋 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (60321957)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 老化 / 慢性炎症 / 自己免疫応答 / プロテアソーム |
研究実績の概要 |
慢性炎症は生活習慣病やがんを含む老化関連疾患の基盤的病態である。加齢に伴う慢性炎症「inflammaging」の原因には、加齢による免疫細胞や体細胞の変化、全身的な代謝変化など様々な要因が複合的に関与するが、炎症誘導の病態メカニズムは十分に解明されていない。また、加齢個体に見られる慢性炎症の病理学的意義、炎症の病理学的評価についても一定の見解は得られていない。本研究では、独自に開発した慢性炎症モデルと老化細胞検出モデルを用い、炎症細胞と体細胞の細胞老化の両面の変化に着目した研究を推進し、慢性炎症の病態解明、病理診断の現場で活用できる慢性炎症関連バイオマーカーの開発を行うことを目的としている。今年度は炎症惹起細胞のシングルセル解析について、正常コントロールとの比較解析を進め、炎症惹起細胞の細胞特性、特徴的な遺伝子パターンの解析を進めた。その結果、クラスタリング解析の結果では、自己抗原反応性を示す細胞集団に特徴的なクラスターが見られ、一方で、自己抗原反応性集団ではほとんど消失しているクラスターも見られた。擬似時系列解析により、細胞集団の分化を見てみると、炎症惹起細胞は生理的なCD8+T細胞とは全く性質の異なる細胞集団へと分化していることが明らかとなり、炎症惹起細胞の特徴的な細胞形質として、エフェクター様、かつ疲弊関連分子の発現を認めた。転写因子では、CD8 T細胞のexpansionやmaintenanceに関わる分子の発現増加や細胞障害性分子やケモカイン等の発現が見られている。さらに、細胞特性のはっきりしないユニークな細胞集団も検出されており、新規細胞分画の可能性を含め、詳細な検討を進めている段階である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シングルセル解析により、炎症惹起細胞の解析が進んでおり、老化細胞検出モデルの研究の準備も順調である。 研究はおおむね当初の計画通りに進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
計画通り、老化モデルマウスのシングルセル解析の継続及び、老化細胞レポーターマウスの研究を進める。 また、慢性炎症惹起細胞のバイオマーカー候補分子については、ヒト組織における発現を検討する。 老化細胞と慢性炎症の関連性を分子レベル、形態レベルで明らかにしていく計画である。
|