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2023 年度 実績報告書

骨・関節における自己寛容破綻機構の解明と新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22H02844
配分区分補助金
研究機関東京大学

研究代表者

小松 紀子  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (20553358)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード自己免疫疾患 / 関節リウマチ
研究実績の概要

近年、組織の恒常性維持や病態形成における間葉系細胞と免疫細胞の相互作用の意義に注目が集まっている。滑膜の炎症に伴って骨や軟骨の破壊が進行する自己免疫疾患である関節リウマチの病態解明においても免疫-間葉系-骨の3者相互作用の理解が重要であると考えられる。われわれはこれまでに滑膜線維芽細胞が破骨細胞誘導因子RANKL を発現する主要な細胞として骨破壊を誘導すること、組織破壊型の病的滑膜線維芽細胞の形成機構を明らかにしてきた。JAK阻害剤は関節リウマチの治療薬として広く使用されているが感染症をはじめとする副作用も存在するため、標的細胞の同定や作用機序の解明は病態理解や治療法の開発において重要であると考えられる。JAK阻害剤は様々な免疫細胞や滑膜線維芽細胞の活性化を抑制することが知られているが、生体内で破骨細胞と骨芽細胞のどちらに作用して骨保護作用を発揮するか不明な点が多かった。そこで今年度では主に、動物モデルを用いて関節リウマチの3つの骨破壊のタイプである、関節破壊、傍関節性骨粗鬆症、全身性骨粗鬆症において、JAK阻害剤の破骨細胞や骨芽細胞への効果を検討した。その結果、関節破壊では主に破骨細胞による骨吸収を抑制することで、傍関節性骨粗鬆症と全身性骨粗鬆症においては破骨細胞の抑制に加えて骨芽細胞による骨形成を促進することで骨保護作用を発揮することが明らかとなった。また、試験管内の検討により、多くのJAK阻害剤はIFN-gamma産生T細胞による破骨細胞分化抑制を解除したが、特定のJAK阻害剤は破骨細胞抑制が維持されたままであることが判明した。これらの結果からJAK阻害剤の効果は、微小環境や標的とするJAKやシグナル経路の特異性に依存することが示唆され、臨床所見に応じてJAK阻害剤を使い分ける必要性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

骨・関節の恒常性維持と破綻の機構の解明において解析が順調に進み一定の成果を得た。

今後の研究の推進方策

シングルセル解析などのデータを活用しつつ引き続き骨・関節の恒常性維持と破綻の機構の解明を行う。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 8件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] The neutrophil-osteogenic cell axis promotes bone destruction in periodontitis.2024

    • 著者名/発表者名
      Ando Y, Tsukasaki M, Huynh NC, Zang S, Yan M, Muro R, Nakamura K, Komagamine M, Komatsu N, Okamoto K, Nakano K, Okamura T, Yamaguchi A, Ishihara K, Takayanagi H.
    • 雑誌名

      Int J Oral Sci.

      巻: 16 ページ: 1,9

    • DOI

      10.1038/s41368-023-00275-8

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Effect of JAK inhibitors on the three forms of bone damage in autoimmune arthritis: joint erosion, periarticular osteopenia, and systemic bone loss.2023

    • 著者名/発表者名
      Komagamine M, Komatsu N, Ling R, Okamoto K, Tianshu S, Matsuda K, Takeuchi T, Kaneko Y, Takayanagi H.
    • 雑誌名

      Inflamm Regen.

      巻: 11 ページ: 1,14

    • DOI

      10.1186/s41232-023-00293-3.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Identification of an intronic enhancer regulating RANKL expression in osteocytic cells.2023

    • 著者名/発表者名
      Yan M, Tsukasaki M, Muro R, Ando Y, Nakamura K, Komatsu N, Nitta T, Okamura T, Okamoto K, Takayanagi H.
    • 雑誌名

      Bone Res.

      巻: 11 ページ: 1,10

    • DOI

      10.1038/s41413-023-00277-6.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 関節の恒常性破綻における 免疫―間葉系―骨の連関2024

    • 著者名/発表者名
      小松紀子
    • 学会等名
      日本リウマチ学会 DokiDokiセミナー(JCR基礎研究若手育成セミナー)
    • 招待講演
  • [学会発表] The immune-stromal-bone interaction in arthritis2023

    • 著者名/発表者名
      Noriko Komatsu
    • 学会等名
      日本分子生物学会
    • 招待講演
  • [学会発表] The immune-stromal-bone interaction in arthritis2023

    • 著者名/発表者名
      Noriko Komatsu
    • 学会等名
      RIKEN BDR Women and Future in Science Seminar
    • 招待講演
  • [学会発表] The immune-mesenchymal-bone Interaction in arthritis2023

    • 著者名/発表者名
      Noriko Komatsu
    • 学会等名
      The 35th Fall Scientific Congress of the Korean Society for Bone and Mineral Research,
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] The immune-mesenchymal-bone triad in autoimmune arthritis2023

    • 著者名/発表者名
      Noriko Komatsu
    • 学会等名
      19th Meeting of Bone Biology Forum Program
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 自己免疫性関節炎における免疫-間葉系-骨のネットワーク2023

    • 著者名/発表者名
      小松紀子
    • 学会等名
      日本骨代謝学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 骨をこわす免疫のしくみ2023

    • 著者名/発表者名
      小松紀子
    • 学会等名
      免疫ふしぎ未来
    • 招待講演
  • [学会発表] シングルセル遺伝子発現解析で紐解く線維芽細胞biology-組織破壊型の線維芽細胞の形成機構の解明-2023

    • 著者名/発表者名
      小松紀子
    • 学会等名
      スクラム社主催 10x Genomics Journal Club
    • 招待講演
  • [産業財産権] ETS1阻害剤を有効成分とする医薬及びそのスクリーニング方法2023

    • 発明者名
      高柳広、小松紀子、塚崎雅之、Yan Minglu
    • 権利者名
      高柳広、小松紀子、塚崎雅之、Yan Minglu
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2023/028599
    • 外国

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公開日: 2024-12-25  

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