研究課題/領域番号 |
22H02862
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
嘉糠 洋陸 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50342770)
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研究分担者 |
大手 学 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20386717)
相内 大吾 帯広畜産大学, グローバルアグロメディシン研究センター, 准教授 (50552783)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 蚊 / ヤブカ / 微生物 / 共生 / パラトランスジェネシス |
研究実績の概要 |
昆虫寄生菌は、クチクラを貫通して蚊の成虫に効率的に感染する。昆虫寄生菌の経口感染がネッタイシマカおよびステフェンシハマダラカの生物学的パラメータに及ぼす影響を調べる目的で、昆虫寄生菌単離株を経口投与した蚊の生存、行動、産卵等について多角的に解析した。50の分離株を蚊成虫への感染で一次スクリーニングした後、選抜した5つの分離株を蚊に経口感染させた。その結果、Beauveria pseudobassiana 42-51株が強い殺蚊活性を持つことが明らかになった。感染したネッタイシマカおよびステフェンシハマダラカにおいて、それぞれ63%と43%の吸血量低下が認められた。加えて、卵の孵化率低下、卵胞の発育不良、二酸化炭素への誘引行動の異常等が観察された。これらの結果は、B. pseudobassiana 42-51株の経口感染が、2種の蚊に致死的のみならず亜致死的な影響を与えることを示す。この真菌株は、2種の蚊を同時に防除する可能性を示し、蚊媒介性疾患制御のための生物防除剤として機能する可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
病原体媒介蚊と昆虫寄生菌の相互作用ついて、当該年度の研究により、ある種の昆虫寄生菌が蚊の吸血行動など様々な表現型に亜致死的な影響を与えることが明らかとなり、パラトランスジェネシスの起点となる可能性が示唆された。昆虫寄生菌等の第三者微生物の分子がどのように蚊と相互作用するかについても基礎的データが積み重なりつつあり、概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
病原体-蚊間相互作用のバランスにおいて、蚊に存在する真菌・細菌・細胞内共生微生物など他種の微生物が重要な役割を果たしている。微生物の介在により昆虫の性質を間接的に改変するパラトランスジェネシスにおいて、(1)蚊と(2)病原体、そして(3)他種微生物群の三者相互作用について、真菌、細菌、および細胞内共生微生物を対象に、研究計画通りに推進する。
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