研究課題/領域番号 |
22H02864
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
平川 秀忠 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (80431758)
|
研究分担者 |
鈴江 一友 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (00333485)
村上 正巳 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30241871)
木村 鮎子 群馬パース大学, 医療技術学部, 講師 (50553616)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 尿路感染症 / 薬剤耐性 / バイオフィルム / 病原性 / 感染制御 / 腎盂腎炎 / 発現制御 |
研究実績の概要 |
本研究では、尿路病原性大腸菌(UPEC)が腎盂腎炎を発症させるための本菌由来の責任因子を同定することにより本疾患発症の分子メカニズムの解明を目指す。UPECは、腎臓上皮細胞に感染しバイオフィルム様のマイクロコロニーを形成することが知られている。UPECのマイクロコロニーは、腎盂腎炎の病態形成に加えて抗菌薬に対して抵抗性を示すことから本感染症の難治化に繋がる大きな要因となっている。本計画では、ゲノムワイドスケールでUPECのマイクロコロニー形成に 寄与する因子の同定を行うこととする。本研究2年目では、初年度に行ったスクリーニングから見出したUPECのマイクロコロニー形成に寄与する候補遺伝子(tosRとtusDCB)について、実際にマイクロコロニー形成と経尿道感染マウスに対する病原性に寄与するか否か欠損株を作製し、検証を行った。その結果、これらの遺伝子がマイクロコロニー形成並びに、病原性に寄与することを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究2年目では、初年度に行ったスクリーニングの結果、見出したUPECのマイクロコロニー形成に寄与する候補遺伝子について、欠損株を作製し機能解析を進めた。スクリーニングにより見出した4種類の遺伝子のうち、2つ(ackAとpta)は前年度までに解析が終了しており、2年目は、残り2つ(tosRとtusDCB)について、マイクロコロニー形成と経尿道感染マウスに対する病原性との関係について詳細に解析を行い、その機能の解明に成功した。その成果については、1つがFrontiers in Microbiology誌に掲載済みであり、もう1つは論文投稿中である。UPEC標準株に加えて代表者と分担者の所属機関から高病原性および、多剤耐性UPECの臨床分離株を入手し、ゲノム解析を含めた遺伝学的情報の収集を行う予定であったが、概ね完了している。その成果については、現在論文投稿準備中である。さらに、その中から高病原性株を1株選定し、高病原性に起因する遺伝子のスクリーニングを標準株で行った際と同様の方法(トランスポゾン変異導入法とプロテオーム解析を導入)で行っている。以上の成果から、進捗状況として「(2)おおむね順調に進展している」と評価するに至った。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、当高病原性株から、スクリーニングによって高病原性の原因となりうる候補遺伝子を同定する。候補遺伝子の欠損株を作製し、in vitro、ヒト尿路系上皮細胞モデル、in vivo UTIマウスモデルを用いて、マイクロコロニー形成と病原性への寄与について解析を進める予定である。
|