研究課題/領域番号 |
22H02866
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
土屋 淳紀 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70464005)
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研究分担者 |
寺井 崇二 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00332809)
植田 幸嗣 公益財団法人がん研究会, がんプレシジョン医療研究センター がんオーダーメイド医療開発プロジェクト, プロジェクトリーダー (10509110)
岡 真優子 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (40347498)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 外膜小胞 / 大腸菌 / 肝硬変 |
研究実績の概要 |
進行肝硬変ではこれらに加えて腸内細菌が更なる線維化進行の要因になる。すなわち、進行肝硬変では、肝臓は硬くなり、肝臓と腸管をつなぐ血管である門脈の圧が上昇(亢進)し、腸管がむくみバリア機能が低下するために腸内細菌の成分が侵入する。その侵入は新たな肝臓の炎症、線維化に繋がり更に肝臓は硬くなり、同様のサイクルを果てしなく繰り返す“Point of no return”の状態に陥る。従来、腸内細菌の成分はpathogen-associated molecular patterns (PAMPs)といわれ、概念的で曖昧であったが、我々は、患者の腹水中に腸内細菌から放出される100 nm前後の外膜小胞(Outer membrane vesicle; OMV)を確認し、肝硬変患者の“Point of no return”の原因になると考えた。本研究ではこの仮説の解明を行う。我々はヒト肝硬変患者の細胞外小胞を採取し、プロテオミクス解析を行ったり、腹水中の細胞外小胞から細菌のOMVが存在しないかを見てきた。その結果、血液中からは検出する事は困難であったが、腹水中からは最近のOMVを観察する事ができた。一方で、肝硬変の悪化に関わる代表的な菌である大腸菌のOMVにより、マクロファージにどのような影響を及ぼすかを観察を行ってきた。その結果、OMVはマクロファージを強く炎症性マクロファージへと変化させる事を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
我々は、これまでに大腸菌の外膜小胞(Outer membrane vesicle; OMV)より、マクロファージが非常に炎症性に変化する事を確認しているのに加えて、腹水中からOMVが検出できるという、本研究のコアなデータをつかんでおり、これまで計画以上に進展していると考えている。その過程でOMV刺激によりマクロファージにClec4eという分子が非常に強く発現してくることも明らかにできており、炎症の機序を解明する上で重要と考えている。 今後の、マウスを用いての研究で更に生体内でも同様の現象が起きているのか、そしてそのことにより、肝障害や線維化にどのように影響を与えていくかを検証して行くことで、より充実した成果が得られるのではないかと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、今まで出てきた結果を、更にすすめ、in vitroでの影響ばかりでなく、マウス肝硬変モデルを用いてのin vivoでの影響を見ながら解析を進めて行きたい。また、肝硬変患者の血清を用いて、OMV由来のタンパクが検出されないか検討を行っていきたい。このような事を通してlealy gutの状態にある肝硬変患者には細菌本体ばかりでなくOMVも影響を与える事を検討したい。
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