研究課題
ウイルス複製に関与する宿主蛋白質品質機構の要であるシャペロンのうち、heat shock protein(Hsp)70 (13種)、そのコシャペロンであるJ-domain protein (JDP)(46種)とNucleotide exchange factor(12種)にGFPを融合させた発現プラスミドライブラリを構築した。このプラスミドを哺乳動物細胞に導入し、ウイルス感染におけるシャペロンの細胞内局在の挙動を詳細に追跡できる細胞系を構築した。severe fever with thrombocytopenia syndrome (SFTS)の原因ウイルスであるSFTSVの感染細胞において、局在の変動するHsp70,JDP,NEFの組み合わせ(シャペロンネットワーク)の同定に成功した。またその局在変動を引き起こす原因ウイルス蛋白質を同定した。この変動するシャペロンネットワークに関連した宿主因子を近接依存性標識法と質量分析法により同定した。現在その機能と意義について検討中である。このHsp70/JDP/NEFシャペロンネットワークは、折り畳まれる基質によって関連する分子パタンが異なる。特定のがん細胞における生存やウイルス感染において関連するシャペロンネットワークの違いを特異的阻害剤への感受性を調べることで網羅的に解析した。さらにそれに関連した宿主プロテームを比較解析し、異なるガンにおけるシャペロン依存性の違いを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
システムの構築とその概念実証として、SFTSV感染に関連するHSP70ネットワークと責任ウイルス蛋白質の同定まで完了した。これらの研究内容は国内学会発表も行った。また異なる疾患(がんとウイルス)におけるシャペロンネットワークのパタンの違いを明らかにし、国際学会発表と論文の上梓もできており、Aim1としては順調、もしくは計画以上に進んでいる。オルガノイド、マウスモデルの構築に関しては、現在進行中であり、来年度には結果を期待したい。
『類似基質の異なるシャペロンネットワークの利用』を網羅的に実証するため、ウイルス種を増やして変動するシャペロン群の網羅的な解析を行う。またオルガノイドやマウスモデルを構築し、より高次な現象としての理解を進める。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
mBio
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