研究課題/領域番号 |
22H02900
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
中村 佐千枝 (平塚佐千枝) 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (60313087)
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研究分担者 |
富田 毅 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (20302242)
加藤 真良 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (70402104)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | RNA結合タンパク質 / 細胞外RNA / がん転移抑制 / 抗転移細胞 |
研究実績の概要 |
がんの転移はがん側の要因と転移を受ける宿主側の要因が複雑に影響して成立する。がん原発巣が転移予定地、すなわち転移前ソイルを宿主側の臓器に作ること、そこに転移を抑制しうる少数の抗転移免疫細胞が存在することを申請者らは明らかにしてきた。この抗転移細胞は、細胞表面に局在するRNA結合タンパク質ZC3H12Dを介し、転移前ソイルから放出される細胞外mRNAにより直接活性化される。本研究では抗転移細胞の解析を、RNAに焦点を絞って解析を行うことでさらに発展させる。 本年度は、受容体とリガンドの細胞内シグナル伝達の解明を中心に検討を行った。 抗転移細胞のZC3H12D受容体は、原発のがんの影響により、発現の安定性が減弱することが判明し、安定的に発現するための微小環境因子の探索と、その候補因子の調節により安定化を維持できるかどうかの研究を行った。また抗転移細胞は、一般的なタンパク質刺激とは異なり、細胞外mRNA刺激による特異的なシグナル伝達を有する可能性を示唆するデータを得た。機能的に関与する分子をノックダウンさせることで、このシグナル伝達の詳細を明らかにする研究を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
mRNAによる抗転移細胞刺激と、そのシグナル伝達を解析するために、RNA結合タンパク質受容体発現細胞株の樹立を試み、免疫細胞で樹立することができた。また概要で述べたように、mRNAによるシグナル伝達は、全く不明であったが、タンパク質刺激とは異なるメカニズムがある可能性を示唆するデータを得て、論文投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
抗転移細胞の活性化を司る、受容体とリガンドの同定を行う。 まず受容体に関しては、抗転移細胞で細胞表面に誘導されるRNA結合タンパク質の解析を行う。R6年度はR5年度に続き、ZC3H12Dと恊働するタンパク質の探索、解析を行う。さらにシグナル伝達の詳細も解析していく。 リガンドに関しては、ZC3H12Dに結合する細胞外RNAの同定を試みる。申請者らは先行研究において、細胞外に放出されたIL1b-mRNAが抗転移細胞上のZC3H12Dに結合すること、がん細胞培養上清(TCM: tumor conditioned media)由来のRNAや、TCMで刺激した肺組織由来のRNAで抗転移細胞活性が誘導されることを示した。また、これまでの知見からZC3H12Dとの結合に必要なmRNAの領域が立体構造をとっている可能性があり、それも考慮してZC3H12Dに結合するRNAの形状と種類の同定をひき続き試みる。
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