研究課題/領域番号 |
22H02956
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
冨永 光俊 順天堂大学, 大学院医学研究科, 先任准教授 (50468592)
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研究分担者 |
高森 建二 順天堂大学, 医学部, 特任教授 (40053144)
鎌田 弥生 順天堂大学, 大学院医学研究科, 准教授 (00410035)
古宮 栄利子 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任助教 (90647009)
外山 扇雅 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任助教 (50805893)
本田 耕太郎 順天堂大学, 大学院医学研究科, 非常勤助教 (70803625)
石氏 陽三 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20366199)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | アロネーシス / かゆみ / 触覚 / 脊髄 / 皮膚 / 感覚神経 / 鎮痒薬 / ドライスキン |
研究実績の概要 |
アロネーシス(触覚誘発性かゆみ)は、衣服の擦れなど、通常ではかゆみを起こさない些細な刺激がかゆみを誘発する痒覚過敏現象を指す。これはアトピー性皮膚炎の患者にて問題となる「かゆみと掻破のスパイラル」の病態形成に関与しており、治療法の開発が切望されている。そこで本研究では、独自に作製した動物モデルを用いて触覚を痒覚に変換する脊髄神経経路(アロネーシス・パスウェイ)の分子神経基盤の解明とアロネーシス治療法の開発に向けて研究を行った。 初年度は、アロネーシス誘発における脊髄CCK2Rの役割の検証と痛覚への影響を検討した。CCK1R及びCCK2R欠損マウスにCCK8Sを髄腔内投与し、CCK8S誘発性アロネーシスの発生頻度を比較した結果、CCK2R欠損マウスにおいてのみアロネーシスが誘発されなかった。次に、CCK2R欠損マウスに対して熱刺激及びカプサイシン誘発性アロディニアのテストを実施した。その結果、野生型マウスとCCK2R欠損マウスの間でこれら痛覚刺激に対する応答性の変化は認められなかった。また起痒物質誘発性アロネーシスにおけるCCK2Rの貢献度を調べた結果、ヒスタミン、5-HT、BAM8-22及びPAR-4アゴニストによるアロネーシスの誘発がキャンセルされた。さらに、CCK2R欠損マウスではドライスキン誘発性アロネーシスも誘発されなかった。 以上より、1)CCK8S誘発性アロネーシスは脊髄のCCK1Rではなく、CCK2Rを介して生じていること、2)CCK2Rは熱刺激及び化学刺激における痛みの発生に関与していないこと、3)CCK2Rは起痒物質及びドライスキン誘発性アロネーシスの発生に関与していることが明らかとなった。最後に、解析に時間を要する脳イメージングの測定条件の検討にも初年度から着手しており、現在、いくつかの測定条件の組合せを検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、CCK2R欠損マウスを用いて、CCK8S、起痒物質、そしてドライスキンによって誘発されるアロネーシスに脊髄に発現しているCCK2Rが関与していることを検証できたことから、「おおむね順調に研究が進展した」と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は脊髄におけるCCK2R発現ニューロンに着眼し、サポリン毒素及び遺伝子改変マウスを用いた行動薬理学的解析を行い、脊髄CCK2R発現ニューロンを起点としたアロネーシス・パスウェイの解明を目指す。
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