研究課題
本研究では認知症関連病的蛋白を標的としたワクチン療法の開発を行う。高齢化に伴う認知症の急増に対する対応が世界的に喫緊の課題となっているが、現時点で有効な治療法は確立していない。病的蛋白に対する免疫療法の開発が進み、アルツハイマー病関連アミロイドβ蛋白に対する抗体療法がFDAにおいて(条件付き)承認されるに至ったが、薬価や有効性の点で課題が多く指摘されている。早期介入が重要で、緩徐進行性で罹病期間が長いという認知症の特性上、ワクチン療法による介入アプローチは多くのメリットを有する。申請者らは、アルツハイマー病における神経細胞死と直接的な関連を持つ病的タウ蛋白に着目し、ワクチン療法の標的として最も効果的なエピトープの候補を網羅的解析によって同定してきた。タウ蛋白の翻訳後修飾(リン酸化)のパターンの変化がアルツハイマー病発症リスクと関連している可能性があり、特定のリン酸化部位を標的とすることで効果的なタウワクチン療法の開発に繋がることが期待される。申請者らが有する独自のワクチン開発技術を基盤とし、アルツハイマー病関連タウ蛋白の翻訳後修飾を標的とした画期的かつ現実的な治療法開発を目指す。令和5年度には以下の内容の研究を実施した。・タウワクチンの最適エピトープを絞り込み、動物実験を用いた薬効試験を実施しその効果を実証した。・アルツハイマー病リスク因子によって変化するタウの翻訳後修飾を網羅的に解析し、研究成果を論文発表した。
1: 当初の計画以上に進展している
開発したワクチンの薬効を動物実験で実証することが出来た。また、研究成果の一部を論文発表することが出来た。
予定通りに進展しており、来年度も計画に沿って実施する。
すべて 2023 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 備考 (1件)
The Journal of Prevention of Alzheimer's Disease
巻: - ページ: 1-11
10.14283/jpad.2023.85
Dementia and Geriatric Cognitive Disorders
巻: 52 ページ: 108-116
10.1159/000529915
http://www.cgt.med.osaka-u.ac.jp/index.html