• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

脳小血管線維化促進細胞の同定による脳小血管老化の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22H02981
配分区分補助金
研究機関新潟大学

研究代表者

加藤 泰介  新潟大学, 脳研究所, 准教授 (30598496)

研究分担者 須貝 章弘  新潟大学, 脳研究所, 助教 (70758903)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードCARASIL / 脳小血管病 / カンデサルタン / シングルセルRNA-seq / 病因形質獲得細胞 / 老化
研究実績の概要

脳小血管を侵す脳小血管病は、高齢者に頻発し、直接的、間接的に認知症に深く関わっている。我々は、孤発性脳小血管病と、病理像が類似する遺伝性脳小血管病CARASILの研究から、脳小血管病の病態解明を進めてきた。その結果、これまで細胞変性による二次的な変化として考えられてきた脳小血管壁への細胞外マトリクス(ECM)タンパク質の蓄積が一次的な病態メカニズムであることを見出している。CARASILの背景は、プロテアーゼであるHTRA1の欠失による分解不全にある。CARASILモデルマウスであるHTRA1 KOマウスは、CARASIL類似の脳小血管障害表現型を呈する。我々の過去の研究から、カンデサルタンがHTRA1 KOマウスの脳小血管病態表現型を軽減することを見出している。
本研究は、CARASIL脳小血管病態のメカニズムとして、加齢とともに脳血管環境に発生する少数の病因形質獲得細胞が関わると仮説を立て、この細胞の同定をシングルセルRNA-seqを用いて同定を目指すものである。
これまでの実施により我々は、4ヵ月齢の若齢期より野生型マウスデータn=1/HTRA1 KOマウスデータ: n=2、24ヵ月齢の高齢期より野生型マウスデータn=2/HTRA1 KOマウスデータ: n=2、さらにカンデサルタンを投与したHTRA1 KOマウスデータ:n=2のシングルセルトランスクリプトームデータの取得を終えた。最終的にはn=3を達成目標としているが、これまでの得られたデータの解析を実施した結果、老化に伴い、特にHTRA1 KOマウスで増加し、かつ、カンデサルタンによってその変化が抑制されるパターンを示す、特定の細胞クラスターと、シグナルカスケードの存在を示すデータが得られつつある。これらの細胞種、またはシグナル系こそが、我々が同定を目指す病因細胞と、関連シグナルである可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は、CARASIL脳小血管病の病態メカニズムとして、加齢とともに脳血管環境に発生する少数の病因形質獲得細胞が関わると仮説を立て、この細胞の同定をシングルセルRNA-seqを用いて同定を目指すものである。CARASILならびにHTRA1 KOマウスで、内膜肥厚を生じる主要な血管である脳軟膜血管に着目し、マウス脳軟膜血管で同定される細胞クラスター間で老化によって変動が見られるカスケードをエンリッチメント解析などを用いて同定するとともに、変動する細胞数にも着目している。生物学的再現性を加味するために各群の目標replicateをn=3と設定する。
この目標達成に向けて、これまでのところ、4ヵ月齢の若齢期より野生型マウスデータn=1/HTRA1 KOマウスデータ: n=2、24ヵ月齢の高齢期より野生型マウスデータn=2/HTRA1 KOマウスデータ: n=2、さらにカンデサルタンを投与したHTRA1 KOマウスデータ:n=2のシングルセルトランスクリプトームデータの取得を終えている。
これまでのデータで解析を進めた結果、Gene ontology解析において血管内皮細胞クラスターで、あるシグナルカスケードの亢進が加齢に沿って加速しており、この変化をカンデサルタンが抑制していることを見出した。
加えて、加齢に沿ってHTRA1 KOマウス脳軟膜血管に増加し、カンデサルタンによってこの増加が抑制を受ける細胞種が同定された。

今後の研究の推進方策

引き続き、全群n=3のデータが取得されるまで、順次シングルセルRNA-seqデータの取得を進める。
ドライ解析では、特に血管内皮細胞クラスターに着目し、本クラスターのみを抽出後、再PCA解析を実施し、より詳細に細分化された血管内皮細胞内亜群種レベルでの各群比較検討解析を実施する。
また、組織解析においても、これまでに同定された候補カスケードの変動が組織内で検出されるかの条件検討を開始する。

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi