研究課題/領域番号 |
22H03013
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加田 渉 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60589117)
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研究分担者 |
米内 俊祐 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 物理工学部, グループリーダー (00415431)
松本 真之介 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 准教授 (10742744)
酒井 真理 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 助教 (70727338)
松村 彰彦 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 助教 (90600453)
青木 勝海 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 物理工学部, 博士研究員 (90964859)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ダイヤモンド / 臨床線量分布 / RBE / MIRT |
研究実績の概要 |
本研究では、重粒子線がん治療装置のさらなる高度化に必要となる線量計の実現、特に、多様な粒子線による腫瘍構造に最適化された線エネルギー付与(LET)値の付与が可能なMulti-ion radiotherapy (MIRT)に対応可能なエネルギー分解型臨床線量計の実現を目的としている。研究目的に対して、計画初年度に当たる本年度においては、単純な電極構造のダイヤモンド薄膜素子を用いて、粒子線の計測実験を遂行した。これと並行し、薄膜表面へ追加の微細加工(フォトリソグラフィと電子ビーム描画を併用した加工)により、検出器有感領域を100 μm^2以下とする加工を試験した。結果として、厚み 50 μm 以下の薄膜単結晶CVDダイヤモンド基板を用いたエネルギー分解型線量計の臨床線量計を実現させた。さらに本検出器を用いて、群馬大学重粒子線医学研究センター(GHMC)臨床治療場において290MeV/nの単一エネルギーや拡張ブラッグピーク(SOBP)といった複数の照射条件による炭素線の照射試験をおこなった。ダイヤモンド半導体線量計素子に計測回路であるμ-plus probe (前置電荷・線形増幅器)を接続することで深度線量分布に即したLET分布の取得が実現された。炭素線場では、阻止能比を考慮して得られる生体(水)等価LETスペクトルから平均LET値を導く従来のアルゴリズムの適応性を確認できた。納期遅延が生じたものの真空チェンバの製作により、量研機構HIMAC施設におけるヘリウム(He)等の多種のイオンを用いて線量計素子挙動を確認する体系も構築できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
量研機構HIMAC施設におけるヘリウム(He)等の多種のイオンを用いて線量計素子挙動を評価する前に、半導体検出器のエネルギーキャリブレーションを行うための、アルファ線源、真空装置、真空排気装置を用いたオフライン体系の構築が必要であった。しかしながら、一部の真空装置や電源系の納品が量研機構HIMAC施設において当初計画に対して遅れが生じた。本件について、納品後に速やかに試験を行うことで、当初計画内において、群馬大学重粒子線医学研究センター(GHMC)臨床治療場ならびに量研機構HIMAC施設臨床治療場における照射体系を構築させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究開発成果をベースとして、群馬大学重粒子線医学研究センター(GHMC),量研機構HIMAC施設の両方の臨床治療場において炭素線 (290MeV/nの単一エネルギーや拡張ブラッグピーク(SOBP))といった複数の照射条件, さらにはヘリウム(He)等の多種のイオンを用いて検出器に対する照射試験を継続する。
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