研究課題/領域番号 |
22H03019
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山本 誠一 早稲田大学, 理工学術院総合研究所(理工学研究所), 上級研究員(研究院教授) (00290768)
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研究分担者 |
平野 祥之 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (00423129)
余語 克紀 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (30424823)
中西 恒平 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (40970174)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 放射線 / 発光 / 水 / スペクトル / フィルター / CCDカメラ |
研究実績の概要 |
チェレンコフ光閾値以下のエネルギーの放射線照射による水の発光がDNA損傷の原因であることを明らかにするために、紫外線が水発光に多量に含まれることを実測により明らかにした。 そのために、まず高い波長分解能を有する超高感度分光画像測定装置を開発した。スペクトル計測はバンドパスフィルターを暗箱の外から蓋を開けることなく交換可能とし、効率的な高波長分解能分光画像測定を実現した。 この開発した装置を用いることで、水の発光スペクトルを高分解能で得ることに成功した。その結果、紫外線が水発光に多量に含まれることを明らかにし、また300nm付近の発光を多く含むことを明らかにした。この発光を利用すれば、放射線の増感効果を実現できる可能性のあることを確認できた。 また、水の発光現象の発光機序と性質を理論計算とモンテカルロシミュレーションを用いて明らかにすることを試みた。 発見した放射線照射により発生する水の発光に含まれる紫外線を用い、酸化チタン(TiO2)ナノ粒子との反応で生じるラジカルにより腫瘍細胞を殺傷することを試みた。申請者の発見した光は、チェレンコフ光と違い、コヒーレントな光ではないため、発生後に位相の異なる光同士が打ち消しあい、光の強度が著しく減少する。しかし、発光点の近傍にTiO2ナノ粒子が存在する場合、打ち消しあう前にTiO2ナノ粒子と反応し、ラジカルを多量に生成する可能性がある。本実験は、現在継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高分解能発光波長計測装置の開発は終了し、水の発光中に多くの紫外線が含まれていることを実証できた。また、関連研究において多くの研究成果がでており、査読付き論文が発表出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)今年度は、酸化チタンの実験に加えて、5-ALAと放射線照射発光を用いた放射線増感効果の細胞実験での実証を行う。申請者の発見した水の発光に含まれる紫外線と5-ALAの反応により生じるラジカルが、腫瘍の治療効果を著しく高めることを、培養腫瘍細胞(脳腫瘍細胞C6 glioma、膵臓がん細胞PANC-1)を用いて、実証する。 (2)またビタミンB2と放射線照射発光を用いた放射線防護効果の細胞実験での実証を行う。申請者の発見した水の発光に含まれる紫外線がビタミンB2により、長波長に変換されることを利用し、放射線影響を低下させることを、培養正常細胞を用いて評価し、実証する。
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