研究課題/領域番号 |
22H03026
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
佐々木 良平 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (30346267)
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研究分担者 |
福本 巧 神戸大学, 医学研究科, 教授 (70379402)
宮脇 大輔 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (30546502)
出水 祐介 神戸大学, 医学研究科, 客員准教授 (50452496)
岩下 和真 神戸大学, 医学部附属病院, 医学研究員 (80850065)
赤坂 浩亮 神戸大学, 医学研究科, 非常勤講師 (20707161)
椋本 成俊 神戸大学, 医学部附属病院, 特命助教 (70634278)
辰野 佑哉 神戸大学, 医学部附属病院, 特命技術員 (10937387)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | スペーサー / 定位放射線治療 / 膵臓がん |
研究実績の概要 |
我々は、ポリグルコール酸(PGA)縫合糸を3次元的に加工した「不織布型吸収性スペーサー」の独自開発を行い、これを用いた粒子線治療期間のみ腫瘍と正常組織を分離する「体内空間可変治療」を提唱した。この方法は、我々の First-in-Human での臨床治験を経て薬事承認(2018年)と保険収載(2019年)に至っている。本研究では、1) 本邦における粒子線治療の実績調査による本治療の現状把握と問題点の抽出を行いつつ、これをX線定位放射線治療へと展開させ、2) 切除不能膵臓がんに対する体内空間可変・定位放射線治療のPhase I/II臨床試験を実施する。3) 吸収性スペーサーの新規 Biomaterial としての生物学的特性の解明と、4) 腹腔鏡対応可能な圧縮型の次世代吸収性スペーサーの開発を通じ、本治療の秀逸な特徴を更に生かし、標準治療として広く普及させて行くための礎とする計画を立てた。実績として本治療法はこれまでの知見に加えてX線で広く普及している回転IMRTを想定した物理的検証を実施し、PMDAとの開発前相談を経て追加申請を行い承認を得て、更には、X線放射線治療においても保険収載され、現在、本邦で広く普及し粒子線治療とX線治療症例を合わせて、400例以上の治療実績を有している。自施設ではその安全性と有効性を評価する目的で、体内空間可変・定位放射線治療のPhase I/II臨床試験の申請が承認され、現在4例に対して実施しその経過観察中である。小児悪性腫瘍でのPhase I 試験の症例登録が完了し、安全に使用可能というデータが得られつつある。また成人例では100例以上の多施設での使用実績が得られ、臨床試験を目的としたスペーサー治療研究会(JSMART)にて長期成績、有害反応を含む付随研究調査である。また圧縮性スペーサーを新規に開発し、その吸収率を動物実験で評価中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本申請をするにあたり、4項目に大別して計画を立てたが、1) 本邦における粒子線治療の実績調査による本治療の現状把握と問題点の抽出を行いつつ、これをX線定位放射線治療へと展開させることに関してはほぼ完了し、2) 切除不能膵臓がんに対する体内空間可変・定位放射線治療のPhase I/II臨床試験を実施することに関しても完了した。3) 吸収性スペーサーの新規 Biomaterial としての生物学的特性の解明は現在も実施中であるが、有望な結果を得ている。4) 腹腔鏡対応可能な圧縮型の次世代吸収性スペーサーの開発に関しても実施中であるが、新たな知見を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
体内空間可変・定位放射線治療のPhase I/II臨床試験の症例登録の完了とそのデータ解析を予定している。Biomaterial としての生物学的特性の解明に関しては引き続き免疫組織化学的な解明を進める予定である。圧縮型の次世代吸収性スペーサーの開発に関して更なる動物実験の遂行を予定している。
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