研究実績の概要 |
希少遺伝性疾患の症例収集については、協力医療機関も増え10施設からの検体提供が得られており昨年度1年間で89症例(患者のみで)を新規にリクルートすることができた。発端者を対象に、主に全エクソーム解析を行った。解析パイプラインも最新のアノテーションの付加や、コピー数解析等の解析フローも改良した。解析症例の中から、繰り返す感染症を呈する兄弟例の解析により新規の疾患遺伝子候補が同定され、現在機能解析を行い、病態発症のメカニズムを解析中である。その外にも世界でまだ数例しか報告されていない新規の希少遺伝子疾患の病的バリアントを同定し、現在3報の症例報告論文を投稿・作成中である。また、他施設との共同研究として、自閉症(Miyake et al., 2023, Eur J Hum Genet)、てんかん(Acta Neuropathol Commun. 2023), Cockayne症候群(Aging, 2022、Hum Genome Var. 2022), 短肢性小人症(Clin Genet. 2022)、小脳低形成・萎縮症(Genet Med. 2022)、知的障害(Hum Genome Var. 2022)のゲノム解析を行い、病的バリアントを同定し、学術論文として発表した。中でも自閉症の解析では、405症例(351 trio, 24 quads, 2 quitets)に対し全エクソーム解析を行い、53症例に症状を説明できる候補バリアント(single nucleotide variants/ small indels)を同定した。さらに、コピー数解析を行い、13症例において症状を説明できる病的コピー数変化を同定した。分子診断率は66/405(16.3%) なり、これは既報より少し高い結果であった。
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