研究課題/領域番号 |
22H03047
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
三宅 紀子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所, 疾患ゲノム研究部 部長 (40523494)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 網羅的ゲノム解析 / 病的バリアント / 単一遺伝子疾患 |
研究実績の概要 |
希少遺伝性疾患の症例収集については、協力医療機関も増え国内外の10施設からの検体提供が得られており昨年度1年間で86症例(患者のみで)を新規にリクルートすることができた。発端者を対象に、主に全エクソーム解析を行い、必要に応じて全ゲノム解析やRNA-Sequencingを行った。それらの解析パイプラインも最新のアノテーションの付加や、コピー数解析、ホモ接合性領域検出ができるよう解析フローも改良した。 解析症例の中から、繰り返す感染症を呈する兄弟例の解析により新規の疾患遺伝子候補を同定した。分子特性に応じた機能解析を行い、新規の発症メカニズムを解明し、現在論文投稿中である。また、今までKDM4B遺伝子のヘテロ接合性バリアントにより表現型が多様な知的障害が起こることが報告されていたが、我々は両アレル性KDM4Bバリアントにより症候性知的障害が起こることを世界で初めて報告した(Takada et al., Human phenotype caused by biallelic KDM4B frameshift variant. Clin Genet. 2024 Jan;105(1):72-76)。 その外にも世界でまだ数例しか報告されていない新規の希少遺伝子疾患の病的バリアントを同定し、現在3報の論文を投稿・作成中である。また、他施設との共同研究として、新規のX連鎖性症候性知的障害(Am J Hum Genet. 2024 Mar 7;111(3):487-508)、新規の脊椎骨端異形成症(Am J Hum Genet. 2023 Jul 6;110(7):1068-1085.)などを報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定数よりも多い症例数の集積があり、順次網羅的ゲノム解析を進められている。また少しずつ協力医療機関を増やすことができており、今後も症例集積が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
現在行っている症例収集・網羅的ゲノム解析を継続し、新規疾患遺伝子候補に関しては積極的に機能解析、国際共同研究を進め、新規疾患遺伝子の同定および病態解明を行う。既知の疾患遺伝子のバリアントであっても、新規のバリアントや臨床症状に特徴がある症例に等に関しては、科学的に新しい知見がある場合には積極的に発表する。国内外での発表を積極的に行い、多施設共同研究を進める。
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