研究課題/領域番号 |
22H03050
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
坂本 直哉 北海道大学, 医学研究院, 教授 (10334418)
|
研究分担者 |
大西 俊介 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (10443475)
須田 剛生 北海道大学, 医学研究院, 講師 (20447460)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 肝線維化 / 肝発癌 |
研究実績の概要 |
本研究は,従来非可逆的とされていた肝硬変症の組織病態を積極的に修復する手法を開発するために,肝硬変の組織病態の修復機構を解析し、肝星細胞を標的とした細胞・薬物療法による肝線維化の組織修復を促進する治療法の効果、作用機構等を解析することを目的として遂行し、以下の成果を得た。 1. 血清組織糖鎖修飾構造の網羅的探索: ●NAFLDの線維化の進展に伴い患者血清中のA2F bisect 糖鎖の発現が疾患特異的に上昇することを示した。●プロテオグリカンの主要成分の一つであるグリコサミノグリカン(GAG)のヘテロ多糖の構造分析系を構築した。2. 培養星細胞をもちいた肝線維化・修復に関連する成分分析:● A2F bisect糖鎖のキャリア蛋白としてIgAをはじめとする複数の蛋白を同定した。●同定された糖鎖修飾構造、キャリア蛋白の修飾の線維化進展に与える影響を解析する。また、糖鎖修飾構造に対する特異抗体を用いた星細胞活性化抑制効果についても解析を進める。● 培養肝星細胞活性化に関連するmicro RNAの包括的解析を施行し、miR-29a、miR-449a、その他特定のmiRNAが活性化星細胞で高発現し、knock downにより星細胞alpha-SMA、type-I collagen発現が抑制されることを示した。Pathway解析では、これらのmiRNAは細胞骨格、細胞外マトリックス、chemotaxis関連経路の蛋白の発現を調節していることが明らかとなった。● C型肝炎SVR後発癌症例では血清中のAng2が有意に高値であり、治療標的としての可能性が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間内では、あらたに肝線維化進展に関連するA2F bisect 糖鎖を同定し、同定のために新たに解析系を構築、同定した糖鎖の臨床滴役割などについても解析をすすめ、論文として発表している。また肝発癌リスクにAng2が関連することを見いだし、治療標的としての基礎研究を進めている。以上から、本課題の進捗は順調に進行していると考ええられる。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、同定された糖鎖候補以外についても臨床滴意義、機能解析を進め、さらにmiRNAの同定とその制御遺伝子のpashway解析、さらにanti-miRNAによる発現抑制が星細胞活性化抑制、肝線維化抑制効果をもたらすか否かを検証する。
|