研究課題/領域番号 |
22H03059
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
青井 貴之 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (00546997)
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研究分担者 |
掛地 吉弘 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80284488)
青井 三千代 (小柳) 神戸大学, 医学部附属病院, 特命助教 (90432327)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 大腸癌 / オルガノイド / エピジェネティクス / 免疫細胞 |
研究実績の概要 |
I) 大腸癌オルガノイド培養に種々のエピジェネティクス標的薬を添加し、回収したRNAサンプルを用いて、免疫関連分子の発現量を定量PCRアレイ等を用いて評価した。その結果、免疫関連分子の発現プロファイル変化への影響が比較的大きい薬剤を同定した。一方、このような変化はオルガノイド毎に、すなわち症例毎にばらすきがあることが明らかとなった。 II) I)で得られた知見のバイオアッセイによる検証-末梢血単核球を用いる検討をのための実験系確立を目指した。 本年度は、大腸癌オルガノイドと免疫細胞の共培養の系とその定量評価系を確立することができた。この検討では免疫細胞として同種末梢血単核球を用いた。さらに、大腸癌オルガノイドを樹立したのと同じ患者から末梢血を採取して単核球を分離し行った混合培養にもこれを適用した。この場合には、細胞傷害性が全体に低かったため、培養条件の工夫を行い、好適な条件を見出した。 III)また、薬剤添加後のサンプルの網羅的遺伝子発現解析を実施し、データ収集およびその解析に着手した。これについては、現時点では明確な科学的知見を得るに至っておらず、引き続きデータを拡充して解析を進める必要がある。 IV)症例毎の免疫細胞による傷害性の違いの検討: 様々な症例に由来するオルガノイドと末梢血単核球を用いた混合培養を行った。本年度は、エピジェネティクス標的薬の添加の無い状態でのデータを取得し、症例毎に免疫細胞との混合培養による細胞傷害性には違いがあることが明らかとなった。さらに、この細胞傷害性はいくつかのパターンに分かれることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たな実験系の確立を含む計画であったが、これまでのところ、それが順調に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
当初想定していた以上に症例毎の薬剤応答性や免疫細胞による傷害性のバラツキが多いことが分かった。そのため、大腸癌症例全般に対して有効なエピジェネティクス標的薬を同定しその効果を多症例で検討するというよりも、むしろ、薬剤応答性と関連する因子の同定という成果につながる可能性が高いように現時点では思われる。また、iPS細胞由来免疫細胞との混合培養の検討については、当初計画に沿って推進する。
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