研究課題/領域番号 |
22H03079
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
西岡 安彦 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (70274199)
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研究分担者 |
佐藤 正大 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (80530899)
荻野 広和 徳島大学, 病院, 講師 (20745294)
三橋 惇志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任講師 (00833732)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 抗原提示細胞 / 線維細胞 / CD200 / 破骨細胞様マクロファージ / 1細胞解析 |
研究実績の概要 |
新規複合がん免疫療法の開発を目指し、マウスモデルを用いて線維細胞と破骨細胞様マクロファージによる免疫調節機能の解析を進めた。悪性胸膜中皮腫細胞株AB1-HAおよび肺がん細胞株LLCの移植モデルを主に使用した。(1)新たな‘正’の抗原提示制御機構の発見から目指す新規複合がん免疫療法:本研究パートで着目するAPCは腫瘍浸潤線維細胞である。腫瘍内CD45陽性細胞を用いたシングルセルRNAシークエンス(scRNA-seq)法により同定した線維細胞クラスター(FC)を抽出し再解析を行った結果、5つの線維細胞サブクラスターを同定した。これらサブクラスターの中で、FC3は他のサブクラスターに比較しCD86、H2-Aa、CD274を高発現し抗VEGF抗体投与下で腫瘍内に増加していたことから、線維細胞の抗原提示能に関与するサブクラスターであることが示唆された。また、scRNA-seqのwPGSA webtoolを用いた線維細胞特異的転写因子発現の検討から、線維細胞で発現が亢進している転写因子群を同定しSMADに着目した解析を進めている。ヒト肺がん組織を用いたscRNA-seqにより、マウス同様に線維細胞クラスターを同定した。(2)新たな‘負’の抗原提示制御機構の発見から目指す新規複合がん免疫療法:本研究パートで着目するAPCは破骨細胞様マクロファージである。腫瘍内破骨細胞様マクロファージが高発現するCD200に着目し、ICIと抗CD200抗体の複合がん免疫療法を検討した結果、抗CD200抗体は抗PD-L1抗体の抗腫瘍効果を増強した。破骨細胞様マクロファージの分化には、RANKLではなくB cell activating factor belonging to the tumor necrosis factor family (BAFF)の関与が示唆され、BAFFを標的とした解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、(1)新たな‘正’の抗原提示制御機構の発見から目指す新規複合がん免疫療法、(2)新たな‘負’の抗原提示制御機構の発見から目指す新規複合がん免疫療法の2つの観点から研究を進めている。令和5年度は、いずれの方向性においても研究は順調に進行し、(1)については一部計画以上の成果が見られている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、(1)新たな‘正’の抗原提示制御機構の発見から目指す新規複合がん免疫療法、(2)新たな‘負’の抗原提示制御機構の発見から目指す新規複合がん免疫療法の2つの観点から研究を進めている。(1)については、腫瘍内で同定した線維細胞クラスター特異的転写因子発現の検討を進め、既に同定した転写因子群(SMADなど)を標的とした線維細胞のAPC機能増強に繋がる複合がん免疫療法の検討を進める。また、腫瘍組織からソーティング法で回収した線維細胞を用いた解析も進める。(2)については、抗PD-1/PD-L1抗体とshRNAを用いた腫瘍のBAFF発現制御及び抗BAFF抗体併用による複合がん免疫療法の検討を進める。また、腫瘍内破骨細胞様マクロファージのソーティング法による回収と機能解析、特に免疫抑制効果の有無等について追加解析を行う。
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