研究分担者 |
加畑 宏樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60528537)
白崎 善隆 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任助教 (70469948)
茂呂 和世 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー (90468489)
鎌谷 高志 東京医科歯科大学, M&Dデータ科学センター, 講師 (90645764)
|
研究実績の概要 |
喘息は我が国において約120万人の成人が治療を受けている呼吸器疾患であるが、そのうちの5-10%がコントロール不良な難治性喘息と考えられている。このような治療に難渋する喘息患者に対して現在5種類の生物学的製剤が使用されているが、適切な治療選択のためのアルゴリズムはいまだ確立されていない。そこで我々は1細胞分泌時間イメージング法(LCI-S)という新たな細胞解析システムを使用し、難治性喘息患者の病態をリンパ球のフェノタイプによって層別化し、生物学的製剤の治療効果を予測できるシステムを構築することを目指している。 昨年度、喘息患者と非喘息患者における末梢血ILC2のLCI-S解析を行い、喘息患者のILC2がIL-4シグナルによって2型サイトカイン産生が亢進していることを報告した(Baba R, et al. JACI:Global, 2022)。その際に、ILC2をシングルセルレベルにて観察すると、ILC2の活性化状態にheterogeneity(多様性)があることが判明し、今年度はILC2の活性化初期のメカニズム(Tanaka Y, et al. Commun Biol, 2023)や活性化に関わる新しい亜鉛制御機構(Irie M, et al. Cell Rep, 2023, Irie M, et al. Star Protocol, 2023)について明らかにした。 さらに、抗IL-5受容体抗体や抗TSLP抗体を使用した患者において、治療前と治療24週間後の時点でLCI-S解析を行うことで、リンパ球フェノタイプが治療効果の予測に有用か解析を行い、本解析結果の一部を第64回日本呼吸器学会学術講演会にて発表した。 次年度以降はさらに解析を進め、難治性喘息の新しいバイオマーカーとしてのLCI-Sを用いた解析システムの構築を進めていく。
|