研究課題/領域番号 |
22H03093
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
乃村 俊史 筑波大学, 医学医療系, 教授 (50399911)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ichthyosis with confetti / revertant mosaicism |
研究実績の概要 |
Ichthyosis with confettiはケラチン10またはケラチン1遺伝子の変異により発症する常染色体顕性遺伝性疾患であり、病変部皮膚の一部のケラチノサイトから病因変異が消失し、自然治癒することが知られている疾患である。本研究では、変異タンパク質が核移行し、複製ストレス応答を変化させることでbreak-induced replicationを誘導し病因変異が消失することの証明を目指している。本年度は、変異ケラチン10の物性について評価を行った。興味深いことに、1.6ヘキサンジオール添加で変異ケラチン10は溶解し、非添加で凝集塊を形成することを示した。これは変異ケラチン10がliquid liquid phase separationを示すことを表している。さらに、この変異ケラチン10は変異KRT10 mRNAの翻訳を阻害するなど、直接的にmRNAと結合することを見出した。なお、これらの所見は、ケラチン10遺伝子のミスセンス変異体(表皮融解性魚鱗癬の原因)ではみられなかった。これらの結果は、変異ケラチン10が直接的にDNAと結合し、相同組換えを誘導している可能性を示しているのかもしれない。今後は、変異ケラチン10のliquid liquid phase separationという物性に着目して研究を推進していくつもりであり、ichthyosis with confettiに加えて他の常染色体顕性遺伝性疾患に対する新しい治療法の開発を目指していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
変異ケラチン10の物性を検討したところ、liquid liquid phase separationを示すことを明らかにした。これは世界で初めての知見であり、順調に実験が進んでいることの証左である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、変異ケラチン10のliquid liquid phase separationという物性に着目して研究を推進していくつもりであり、DNAと変異ケラチン10が直接結合し、相同組換えを誘導するのか、解明していく予定である。
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