研究課題/領域番号 |
22H03094
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
浅野 善英 東北大学, 医学系研究科, 教授 (60313029)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 全身性強皮症 / 転写因子FLI1 / 転写因子ネットワーク |
研究実績の概要 |
全身性強皮症は線維化・血管障害・免疫異常を主要3病態とする指定難病で、その病態解明と治療開発は医学研究者に課された急務の一つである。申請者は20年来、強皮症の基礎研究に従事してきたが、その過程で「転写因子Fli1の発現低下」が重要な疾病因子であることを見出し、2014年に本症の主要3病態を忠実に再現する世界初の遺伝子改変マウスの作製に成功した。さらに、8系統の各種細胞特異的Fli1欠失マウスを用いた解析を行い、強皮症病態における細胞種間のヒエラルキーを明らかにした。本研究では、8系統の各種細胞特異的Fli1欠失マウスを用いて細胞種別にATAC-seqによる転写因子フットプリント解析を行い、Fli1の発現低下が誘導する細胞種横断的および細胞種特異的な強皮症関連転写ネットワークの同定を目指す。本研究の最終目標は、「強皮症関連転写ネットワークを標的とした新規治療戦略」を発案・検証することである。 以上の研究目的に則り、初年度はATAC-seqを行ううえでの実験手技および至適条件の確立を目標として検討を進めた。2年目は野生型マウスおよびFli1+/-マウスをそれぞれブレオマイシンおよびPBSで1週間あるいは4週間処理し、皮膚・肺および末梢血から各種Fli1欠失細胞と対照細胞を単離し、ATAC-seqを行った。ATAC-seqの質の高いデータを得るには、一定の細胞数が高いpurityで得られる必要があり、検討の結果、血球系細胞、特にB細胞に着目して研究を進めることが適していることが明らかとなった。以上の結果を受けて、B細胞特異的Fli1欠失マウス、およびそのコントロールを作製し、3年目の実験に備えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目までの研究により、B細胞に絞って研究することでデータが得られそうであることが分かった。3年目はB細胞特異的Fli1欠失マウスを用いて検討を行う予定であり、Fli1発現低下により誘導される転写因子ネットワークとその形質誘導における役割を明らかにできる見通しが立っている。
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今後の研究の推進方策 |
3年目となる今年度は、B細胞特異的Fli1欠失マウスを作製し、同マウスとコントロールマウスから単離してきたB細胞について、サブセット解析とATAC-seqを行い、B細胞においてFli1欠失により誘導される転写因子ネットワークの同定を試みる。
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