研究課題/領域番号 |
22H03121
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
久保田 龍二 鹿児島大学, 医歯学域ヒトレトロウイルス学系, 教授 (70336337)
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研究分担者 |
田中 正和 鹿児島大学, 医歯学域ヒトレトロウイルス学系, 准教授 (20454613)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | HAM / HTLV-1 / 自然免疫 / NKT細胞 / gdT細胞 / TLR |
研究実績の概要 |
HAMはヒトレトロウイルスであるHTLV-1によって発症する炎症性脊髄疾患であり、中枢神経にHTLV-1感染細胞と免疫細胞が浸潤し炎症により神経障害が起こり、歩行障害、排尿障害で患者は苦しんでいる。HTLV-1の排除がHAMの治療に結びつくと考えられている。近年ウイルス排除には獲得免疫のみではなく自然免疫も重要な役割を果たし、また細胞内においてもパターン認識受容体によりウイルスを認識するTLR8などの細胞内免疫機構が明らかになってきた。本研究では、①HAMの病態にNKT細胞やgdT細胞を含む自然免疫細胞が関与しているのか、②感染細胞内でのウイルスセンサーであるTLR8からHTLV-1が逃避しているのか、③TLR8増強で感染細胞のウイルス排除を増強できないか、を明らかにすることでHAMの病態解明と新規治療法開発につなげる。 令和4年度は①についてHAM、キャリア、正常者の末梢血リンパ球を用いて検討を行った。gdT細胞は全体では増減はなかったが、分画であるg9d2T細胞は減少していた。NKT細胞は増減はなかったが、Va24Vb11陽性細胞分画が減少していた。MAIT細胞は減少傾向を認めたが、有意差はなかった。これらの細胞比率とHTLV-1ウイルス量の相関を検討したが、有意な相関はなかった。また、HAMの末梢血リンパ球を1-1.5ヶ月IL-2添加にて長期培養するとCD56+CD3+細胞が増加し、NKT細胞およびgdT細胞が増加してくることを確認した。 また、②については、HAMの末梢血リンパ球のマイクロアレイ解析でHTLV-1感染細胞でTLR8の発現低下を認めたが、HTLV-1細胞株およびtaxを発現させた細胞で、RT-PCRによりTLR8の発現を調べたところ逆に発現は減少していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は、HAMの末梢血を用いてNKT細胞、gdT細胞、MAIT細胞などの自然免疫細胞の測定を行い、HAMでは特定のリンパ血球成分が減少していることが明らかになった。またHAMの末梢血リンパ球の長期培養でNKT細胞やgdT細胞が増殖してくることがわかった。年度初めの予定ではこの増殖してきた細胞がHTLV-1感染細胞を認識するかを検討する計画であったが、培養期間がある程度かかるため予備実験に時間を費やし、その後の細胞の分離および混合実験まで進むことが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
今後はHAM患者の末梢血リンパ球の長期培養で増加してくるNKT細胞やgdT細胞がHTLV-1感染細胞を認識するのかを、これらの細胞とHTLV-1感染細胞の分離とその後の混合培養にて検討していく。その後HAMの中枢神経組織を用いて自然免疫細胞の脊髄での動態を病理学的に検討する。 さらに、我々のマイクロアレイによる先行研究でHAM患者リンパ球ではTLR8の発現が低下していることより、②感染細胞内でのウイルスセンサーであるTLR8からHTLV-1が逃避しているのかを解析していく。これに先立ち、TLR8の発現はHTLV-1感染細胞株では逆に低下していたので、HAMの末梢血リンパ球からHTLV-1感染細胞を分離し、RT-PCRで減少しているのか確認する必要がある。
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