研究課題/領域番号 |
22H03129
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山縣 和也 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (70324770)
|
研究分担者 |
津山 友徳 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (10845960)
吉澤 達也 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (40313530)
佐藤 叔史 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (90622598)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | SIRT7 / サーチュイン / 糖新生 |
研究実績の概要 |
サーチュイン(哺乳類ではSIRT1-SIRT7の7種類が存在)はNAD依存性の脱アセチル化酵素であり、代謝やストレス応答、DNA修復、炎症、老化などの制御に関与しているが、SIRT7の代謝作用については不明な点が多い。申請者はSIRT7が肝臓における脂質代謝の制御(Cell Metabolism 2014)や骨代謝(Nat. Commun 2018)に関与していることを明らかにしてきたが、SIRT7の肝糖代謝における意義は不明である。 そこで申請者は肝臓特異的なSIRT7ノックアウト(KO)マウスを作製し、肝糖代謝における役割について検討を行った。その結果、SIRT7 KOマウスの肝臓では糖新生の律速酵素であるPEPCKやG6Paseの遺伝子発現が低下しており、ピルビン酸負荷による血糖の上昇が軽度であることが判明した。SIRT1やSIRT6は糖新生を抑制することが報告されているが、本研究で得られた新知見はSIRT7が糖新生促進的に働くことを示している。次にSIRT7による糖新生促進の分子メカニズムを解明するためにSIRT7結合タンパク質の網羅的な探索を行ったところ、糖新生抑制的に働く転写抑制因子NFIL3を同定することに成功した。NFIL3はcAMP応答配列に結合するbZip型転写抑制因子であり、PEPCKやG6Paseの遺伝子発現を抑制することで糖新生を減弱することが報告されている。SIRT7がNFIL3を脱アセチル化することも確認できたことから、SIRT7はNFIL3を脱アセチル化することでその活性を阻害することで糖新生を抑制する可能性が考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通りに、SIRT7が糖新生を制御することを明らかにし、その分子メカニズムには転写抑制因子であるNFIL3が関与していることを同定することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、SIRT7により脱アセチル化されるNFIL3のアミノ酸(リシン残基)の同定を行っている。修飾アミノ酸の決定後、リシンをアルギニンおよびグルタミンに変換した変異体NFIL3を作製し、その機能について検討を行う。
|