研究課題
1.肝臓における代謝の領域局在性の制御に関わる候補因子に着目し、この候補因子のアデノウイルス(過剰発現ウイルスとRNAiウイルス)を作製・維持し、各種モデルマウスの肝臓に遺伝子導入した。このモデルマウスでは、肝臓での代謝の領域局在性に変化が起こることが認められた。2023年度以降、このモデルを用いて糖・脂質・エネルギー代謝に関わる各種解析を行うことで、特に、全身の糖代謝と、脂肪組織や骨格筋に与える新規のネットワーク機構が存在するのか、検討していく。2. CRISPR/CAS9によるゲノム編集を用いた細胞実験系を樹立しており、同様にしてこの候補因子の遺伝子変異ヒト肝細胞株を作製・獲得を検討している。2023年度以降、この変異細胞株、ホモ変異細胞株、ヘテロ変異細胞株を獲得できた場合、野生型細胞株を対照群として網羅的解析へ進めることを検討する。3.この候補因子のターゲットExonの前後にLoxP配列を組み込んだfloxedマウスを獲得できた。このfloxedマウスと、肝臓特異的Cre recombinase発現マウスとの交配を行い、臓器特異的ノックアウトマウスを作製した。このモデルマウスは、タモキシフェン誘導性にCre recombinaseを発現するマウスであることから、2023年度以降、タモキシフェンの必要量を検討する。タモキシフェンの必要量を決定できれば、この臓器特異的ノックアウトマウスの表現型を解析していく。4.発展的には、未知の臓器連携機構、特に神経系による制御機構介在の解明を目指して、神経系アプローチからの検討も、以降の年度内で加える予定である。
3: やや遅れている
2022度の研究実績と進行状況、次年度への予定に関して、当該年度の研究計画書の内容を基に簡潔に記載した。1つに、肝臓における代謝の領域局在性の制御に関わる候補因子をターゲットとした研究では、モデル動物実験において、アデノウイルスによる過剰発現系を確立できた。一方、タモキシフェン誘導性の肝臓特異的欠損モデルマウスを獲得できたが、その交配には時間を要した。
次年度も研究計画に基づき、研究は継続する予定である。まずは、動物実験として、肝臓への候補因子を導入し、代謝の領域局在性に変化がもたらされたモデルマウスを確立できた。今後は、このモデルを用いて、その表現型の更なる解析と、臓器連携の詳細の検討を行う。さらに、獲得できたタモキシフェン誘導性の肝臓特異的欠損マウスについて、タモキシフェン必要量を確立し、その表現型解析を継続する。以上のように、動物実験系の解析を進めていき、肝臓における臓器内代謝を制御する候補因子の生理的意義と役割を解明したい。
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帝京医学雑誌
巻: 46 ページ: 35-44