研究課題/領域番号 |
22H03154
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
紙谷 寛之 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30436836)
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研究分担者 |
小山 恭平 旭川医科大学, 医学部, 講師 (00818479)
筒井 真博 旭川医科大学, 医学部, 助教 (00910267)
成田 昌彦 旭川医科大学, 大学病院, 助教 (00934267)
白坂 知識 旭川医科大学, 医学部, 客員准教授 (10710577)
潮田 亮平 旭川医科大学, 医学部, 助教 (50910270)
広藤 愛菜 旭川医科大学, 医学部, 助教 (70847516)
菊池 悠太 旭川医科大学, 医学部, 助教 (80882711)
吉田 巧 富山県産業技術研究開発センター, その他部局等, 主任研究員 (80741751)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 小口径人工血管 / 吸収性ナノファイバー / 完全自家血管化 / 冠動脈バイパス術 / 組織再生 |
研究実績の概要 |
冠動脈バイパス術や下肢血行再建術に使用可能な直径4㎜以下の細径人工血管の開発は心臓血管外科学分野における長年の課題である。我々は、生体内に移植することでスキャフォ ルド内に自己組織が生着し長期開存が得られる代用血管を開発するため、生体吸収性ナノファイバー(NF)に着目した。現在までに、血小板吸着抑制作用を発揮する親水化加工NFグラフトを開発し、ラット腹部大動脈置換モデルにおいて移植後グラフト全長にわたり内皮細胞が生着することを証明し、最長8か月におよぶ長期開存性を確認した。本研究では、臨床での実用化を目的として、完全自家組織化を可能にする分解性スキャフォールドの最適化を行い、小動物モデルから中大動物モデルを用いて研究コンセプトの証明と、臨床での使用に耐えうるハンドリング性能の評価を行う。 2022年度は、生体内で完全吸収されるスキャフォールドを作成するための基礎データの取得を行った。これまで研究に用いてきたポリカプロラクタン(PCL)は、生体内での吸収が非常に遅いため、分解性が高いポリグリコール酸(PGA)やポリ乳酸(PLA)と混合して分解性をコントロールする。これまで各素材の生体内分解速度に関する定量的なデータが存在しないため、その定量評価を行った。皮下環境下での評価はほぼ終えて、ラットを用いて血管環境下での評価を始めている。並行して、グラフトの分解による完全自家組織化を評価するためには長期観察が必要なため、長期飼育可能なウサギでの評価系の確立を行った。このモデルを用いて、PCLグラフトが長期的にどのような形態変化を示すか検討を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに吸収性スキャフォールドの最適化実験を進められている。また、研究後半で利用する予定であるウサギ腹部下行大動脈移植モデルの確立もできた。
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今後の研究の推進方策 |
各吸収性ナノファイバーの血管環境下における分解速度を決定し、生体内半減期が6か月となるようなスキャフォールドの作成を行う。分解速度がコントロールされたスキャフォールドで血管グラフトを作成し、ラット腹部下行大動脈移植モデルで開存性および自家血管再生を評価する。また長期開存性を評価するために、ウサギを用いて血管グラフトの移植を開始し、並行してブタ冠動脈バイパス術に耐えうる強度のスキャフォールドが作成できるかどうかを、in vitroでテストする。
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