研究課題/領域番号 |
22H03160
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
宮本 伸二 大分大学, 医学部, 教授 (70253797)
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研究分担者 |
穴井 博文 大分大学, 医学部, 教授 (20291544)
河島 毅之 大分大学, 医学部, 助教 (20791049)
中山 泰秀 大分大学, 医学部, 客員研究員 (50250262)
岩井 良輔 岡山理科大学, フロンティア理工学研究所, 講師 (60611481)
首藤 敬史 大分大学, 医学部, 講師 (60649763)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 生成医療 / 冠動脈 / 人工血管 / 虚血性心疾患 |
研究実績の概要 |
すでに臨床治験に進んでいるIBTA(生体内組織形成術)によって形成された末梢バイパス用バイオチューブより厚さの薄い冠動脈バイパス仕様の長い小口径組織工学人工血管(ロングレングスバイオチューブ)の作製法を確立させ、動物移植実験によって冠動脈バイパス用のバイパス血管としての長期耐久性を評価する実験を行った。 冠動脈用バイオチューブ作成専用鋳型(内径2mm、長さ15cm)設計作成し、成ヤギの皮下に埋植し、二カ月後取出し、バイオチューブが作成されているのを確認した。このバイオチューブの組織学的分析では炎症細胞浸潤なく、ほぼ100%コラーゲン線維で構成されていることが判明した。 バイオチューブを皮下で作成した同ヤギを用いて体外循環を用いながら採取したバイオチューブを二本連結し(7-0プロリン糸)、末梢を左冠動脈に吻合、中枢を上行大動脈に吻合した。その後前下行枝中枢を結紮した。10頭に対し同手技を行ったが、4例が心室細動を発症し体外循環から離脱できなかった。4例は体外循環から離脱できたが1例が術直後、2例が術翌日にバイオチューブ閉塞のため心筋梗塞を起こし死亡した。1例は術後4日目に原因不明の突然死をきたした(バイオチューブは開存)。この結果を得て、①バイオチューブの連結(吻合)が原因で閉塞をきたすのではないか、②内径2mmは細すぎるのではないかと考察し、現在内径3.5mmの渦巻状の鋳型を設計し、2頭の皮下に埋植中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
内径4mm長さ12cmのこれまでの頸部バイパスに使用したバイオチューブは長期開存が得られたが、今回15cmを連結した径2mmのバイオチューブでは早期閉塞が生じてしまっている。閉塞の原因は①バイオチューブの連結(吻合)が原因、②内径2mmは細すぎる、③末梢血管とことなり、心筋血流は収縮期に全く流れない期間があるなどが考えれらた。また当初は術中操作による心室細動の発症も問題でこれによりモデルを失ってしまった。更に納入したヤギ内2頭がを実験前にきたしてしまった(尿閉からの腎不全と原因不明死)。
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今後の研究の推進方策 |
術中操作による心室細動の発症は防げるようになった。閉塞の原因は冠動脈血流の特徴の他、①バイオチューブの連結(吻合)が原因で閉塞をきたすのではないか、②内径2mmは細すぎるのではないかと考察し、連結する必要がない更に長いチューブが作成できるらせん形の鋳型を開発設計し(現在既に埋植中)、その内径を3.5mmに設定することでそれらの問題が解決するのではないかと考えている。またそのグラフトでも早期閉塞が生じるようであればグラフト内腔にアルガトロバンをバンディングさせて使用し開存率を上げる。開存が得られた時点で同様の鋳型を用いてブタでバイオチューブを作成し、それを用いてヤギの冠動脈バイパスを用いる異種移植モデル作成を開始する。
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