研究課題/領域番号 |
22H03162
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
豊岡 伸一 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (30397880)
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研究分担者 |
冨田 秀太 岡山大学, 大学病院, 准教授 (10372111)
枝園 和彦 岡山大学, 大学病院, 講師 (30708079)
山本 寛斉 岡山大学, 大学病院, 講師 (40467733)
岡崎 幹生 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (50467750)
阪口 政清 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (70379840)
冨樫 庸介 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (80758326)
諏澤 憲 岡山大学, 大学病院, 助教 (90839713)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | がん微小環境 / がん関連線維芽細胞 / マトリセルラー蛋白 / 血管内皮細胞 |
研究実績の概要 |
がん微小環境は、がん細胞と周囲の組織や免疫細胞を含む様々な細胞・非細胞成分から構成される。がん細胞と微小環境は相互に影響し、正常組織とは異なるがんの進展に必要な異常な環境を構築するのみならず、従来の抗腫瘍薬剤への抵抗性にも関与している。がん微小環境を構成する因子のうち、がん関連線維芽細胞(CAF, cancer associatedfibroblast) は、がんの進展に重要な役割を果たしているが、これまでがん微小環境に関する研究を進める中で、マトリセルラータンパク質がCAFで高発現している知見を得た。本研究は、がん微小環境においてCAFの由来・成熟に対するマトリセルラー蛋白質の役割を解明し、マトリセルラータンパク質阻害によるがん微小環境を標的とする肺がんに対する新しい治療戦略の創出を目的としている。 2022年度は、肺がん手術臨床検体から得られた肺がん・正常肺組織のペアサンプルを用いてシングルセルRNAシークエンスを実施した。血管内皮細胞や周皮細胞が、内皮間葉移行(EndMT) をおこし分化転換したCAFを同定すべく、得られた発現データセットを用いて線維芽細胞と血管内皮/周皮細胞の特徴を持つクラスターを探索し、我々が着目しているマトリセルラー蛋白との相関、特異的に活性化しているシグネチャーの検討を行っている。 さらに、非小細胞肺がん細胞株とCAFを用いて、CAFが肺がん細胞の表現型に与える影響について検討をin vitroで共培養および馴化培地モデルなどを用いて検証した。その結果、CAFの共培養およびCAF由来のCMの刺激により、肺がん細胞細胞の増殖能、遊走・浸潤能、薬物治療抵抗性のいずれも亢進することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肺がん臨床検体を用いてシングルセルRNAシークエンスを行い、我々が着目しているマトリセルラー蛋白ががん微小環境における役割の探索に取り掛かっている。また、CAFと肺がん細胞を用いたin vitroモデルにより、CAFが肺がん細胞に与える多くの影響を確認している。以上より研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きシングルセルRNAシークエンスの解析を行い、マトリセルラー蛋白発現とCAF、血管内皮/周皮細胞との相関を検討する。またその陽性CAFに特異的に活性化しているシグネチャーを明らかにする。得られた結果から肺がん細胞、CAF、血管内皮細胞を用いた各種検証実験を行う。
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