研究課題/領域番号 |
22H03169
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
川股 知之 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80336388)
|
研究分担者 |
西畑 雅由 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (20896013)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | Tmem45b / 機械性痛覚過敏 |
研究実績の概要 |
これまでの研究で新規痛み関連分子Tmem45bを見出し、炎症病態モデルで観察される機械性痛覚過敏/アロディニアの責任分子であることを確認している。本研究では、Tmem45bが炎症のみならず、種々の病態で観察される機械性痛覚過敏/アロディニアの責任分子であること、また、その分子機序を明らかにし、難治性の機械性痛覚過敏/アロディニアの新たな治療法を提示することを目的とした。昨年度にTmem45b遺伝子欠損マウスを用いて、侵害受容に対するTmem45bの役割を解析した。その結果、Tmeme45bは正常状態での侵害熱・機械刺激受容には関与せず、炎症・皮膚切開・化学療法後神経障害で観察される機械性痛覚過敏に特異的関与することが明らかとなった。Tmem45b遺伝子欠損マウスは生まれながらにTmem45bが欠失いるため成長の影響がある可能性がある。そこで、siRNAを用いてTmem45b機能の急性抑制の効果を検討し、Tmem45bを標的とした痛み治療の有効性を検討した。siRNAは脊髄くも膜下投与した。siRNAの3日間連日投与により、後根神経節でのTmem45b mRNA発現は約20%程度まで低下した。Tmem45b遺伝子欠損マウスと同様に、siRNAは正常状態での侵害熱・機械刺激受容には影響しなかったが、炎症・皮膚切開・化学療法後神経障害で観察される機械性痛覚過敏を特異的に抑制した。この効果は、モデル作成前に投与しても、作成後の投与しても同様であった。また、機械的な神経障害によって生じる機械性痛覚過敏には影響しなかった。以上により、Tmem45bは炎症・皮膚切開・化学療法後神経障害で観察される機械性痛覚過敏の治療標的となることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R5年度の研究計画は「siRNAを用いたTmem45b機能の急性抑制効果検討」であり、予定通り遂行できた。
|
今後の研究の推進方策 |
R5年度までは、予定通り研究遂行できている。R6年度は、PIEZO2とTmem45bの相互作用を明らかにする。人員や研究機器を含む研究環境は現状で研究遂行に問題ない。今後も、研究分担者と協力して研究を進める。蛍光in situ hybridizationと免疫染色の二重染色とCaイメージング研究を行うが、研究技法は研究分担者が取得済みである。もし、技術的な問題が生じた場合には、必要に応じて学内の専門家に助言・協力を仰ぎ、研究を進める。学内の専門家の協力体制はすでに構築されている。
|