研究課題/領域番号 |
22H03174
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清水 健太郎 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60379203)
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研究分担者 |
上田 安希子 大阪大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師 (40942587)
大西 伸也 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60892932)
小倉 裕司 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (70301265)
水口 裕之 大阪大学, 大学院薬学研究科, 教授 (50311387)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 腸内細菌 / ICU / 全身性炎症反応 / 腸 / dysbiosis / IgA / 糞便微生物移植 / メタゲノム |
研究実績の概要 |
救急・集中治療領域の重症病態である感染症、外傷、手術侵襲などの侵襲によって引き起こされる腸管不全および全身性炎症反応症候群と呼ばれる一連の生体応答をテーマに研究を進めている。①腸管モデルを用いた腸内細菌と腸管バリア機能の解明:重症患者の便から菌を抽出して保存する。各種の腸管モデルを用いて、微生物を腸管モデルの上に添加して、腸管上皮の透過性を経内皮電気抵抗 (transendothelial electrical resistance: TEER)で評価した。バクテリアルトランスロケーションを引き起こすひとつの菌であるKlebsiella pneumoniaeをcaco-2細胞単層膜に作用させると濃度依存性にTEERの低下を認めた。また、位相差顕微鏡観察では穴を確認したことから、Klebsiella pneumoniaeに穴をあける何らかの機序があることが考えられた。②腸内細菌叢を介した免疫能に及ぼすメカニズムの解明:腹膜炎モデルを用いて、侵襲後の腸管上皮のIgA+B220-細胞をフローサイトメトリーを用いて評価を行った。IgA+B220-細胞は、腹膜炎の侵襲後に上昇する傾向にあった。大腸だけでなく小腸においても上昇していたことから、侵襲に対するdysbiosis進行に対する生体応答の可能性が示唆された。③難治性下痢症に対する腸内細菌叢再構築(糞便微生物移植)療法の開発:腸管内治療不応性の難治性下痢症例への便移植を計画する。糞便微生物移植の臨床研究を実施するために研究計画書の作成を行った。治療に不応性の下痢を難治性下痢症として、その診断基準のために便塗抹を用いた分類を用いることで、疾患を横断的に病態の共通性を診断できる基準の策定をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糞便微生物移植の計画には倫理委員会での審査があり、時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
①腸管モデルを用いた腸内細菌と腸管バリア機能の解明:Klebsiella pneumoniaeの作用についてRNAを回収してタイトジャンクション蛋白など透過性にかかわる遺伝子発現についても進める。②腸内細菌叢を介した免疫能に及ぼすメカニズムの解明:腹膜炎モデルの研究を進めてIgA分泌能についても調査する。③難治性下痢症に対する腸内細菌叢再構築(糞便微生物移植)療法の開発:研究計画書を作成して、難治性下痢症に対する臨床研究を開始する。
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