研究課題/領域番号 |
22H03175
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
赤星 朋比古 九州大学, 医学研究院, 准教授 (20336019)
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研究分担者 |
村田 正治 九州大学, 先端医療オープンイノベーションセンター, 教授 (30304744)
白水 和宏 九州大学, 大学病院, 講師 (30568960)
戸井田 力 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (40611554)
姜 貞勲 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (50423512)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 急性炎症 / ナノ医薬 / エクソソーム / マイクロRNA |
研究実績の概要 |
急性炎症には主に薬物療法としてはステロイドによる治療が試みられているが、十分ではないのが現状である。これまでにもスタチン製剤や好中球エラスターゼ阻害剤なども臨床試験で試みられているが、未だに有効性が示されていない。そこで本研究では、生体適合性の高いナノ医薬を利用した免疫細胞の形質転換が、不可逆的な組織障害による機能不全を改善するのかどうかについて検証し、あらたな治療薬の創出を目指す。2022年度においては、リポポリサッカライド(LPS)の投与による急性炎症モデルにおいてこのナノ医薬の治療効果を検討した。ナノ医薬のみにおいても組織障害の軽減がみられたが、生理活性分子を搭載したナノ医薬においてはより、浮腫、炎症細胞の浸潤の軽減がえられた。それに応じて、各種サイトカインも炎症性サイトカインの軽減が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね当初の研究計画通りに進捗しており、急性期のマウス組織障害モデルでは、予想通りの結果を得ることができた。また、in vitroの研究においてより詳細な免疫細胞の機能制御の検討を行うことができた。最終年度までに研究計画通りに実験を完了できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度においては、2種類の急性炎症モデルにて、免疫細胞の機能変換が、急性炎症に与える影響について検討する。検討するにあたり最初に炎症モデルマウスを二群に分け(各8匹)、治療群には所定量のFITC封入ナノ医薬水溶液を、対照群には同量の生理食塩水を投与する。また、治療群ではFITC封入ナノ医薬水溶液を、対照群には整理食塩水を投与する。投与濃度については検討課題とする。治療効果は生存率,経時的血中酸素飽和度、ナノ医薬投与後6時間に摘出した臓器の組織化学的評価、炎症性サイトカインの発現量(MCP-1,IL-6,IL-8,HMGB-1、TNF-α)、酸化ストレスマーカー(8-OHdG、4-HNE)の変動、免疫細胞マーカー(iNOS、Arginase1)のFACS解析を指標に評価する。本年度の研究によりナノ医薬および生理活性分子を搭載したナノ医薬の投与経路別の治療効果(伝送性)について明らかにする。また、将来の臨床応用を見極めるために、ナノ医薬の急性毒性(肝、腎機能)の有無についても生化学的に評価する。
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