研究課題/領域番号 |
22H03204
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
村田 大紀 佐賀大学, 医学部, 助教 (00772683)
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研究分担者 |
池谷 真 京都大学, iPS細胞研究所, 准教授 (20442923)
東 千夏 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60579085)
伊藤 学 佐賀大学, 医学部, 講師 (50555084)
中山 功一 佐賀大学, 医学部, 教授 (50420609)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 靭帯組織体 / 自動伸展循環培養装置 / 細胞構造体 / バイオ3Dプリンタ / 細胞凝集塊 / iPS細胞由来中胚葉系細胞 / 靭帯再建 / 靭帯損傷 |
研究実績の概要 |
本研究は,新たな靭帯再建法の確立を目指し,バイオ3Dプリンタを用いて主にiPS細胞由来中胚葉系細胞からなる細胞構造体を造形し,独自に開発した自動伸展循環培養装置を駆使して,靭帯さながらの靭帯組織体を創出する計画である。 ①本年度はまず,ヒトiPS細胞由来中胚葉系細胞などを増殖させて細胞凝集塊を作製し,細胞数,培養期間,および使用する培地の違いが,凝集塊の大きさと真円度に与える影響について比較・評価した。その結果,細胞数と凝集塊の大きさは正の相関を示した一方で,培養期間と凝集塊の大きさは負の相関を示した。また,使用する培地が異なることによって,それらの相関にはばらつきが認められ,凝集塊の真円度にも大きな影響を及ぼすことが確認された。 ②次に,上記①における凝集塊作製の条件検討実験を基に,バイオ3Dプリンタでの積層に適した凝集塊を作製し,チューブ状の細胞構造体を造形した。造形した構造体について,引張試験機を用いて破断強度[N/mm^2]を測定し,力学的特性を評価した。その結果,来年度に実施予定の自動伸展循環培養装置を用いた伸展刺激に十分耐え得る構造体を,短期間で作製することに成功した。また,当該構造体を組織学的にも評価した結果,細胞外基質として主に不規則に分布するⅠ型コラーゲンが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①ヒトiPS細胞由来中胚葉系細胞などを増殖させて細胞凝集塊を作製し,細胞数,培養期間,および使用する培地の違いが,凝集塊の大きさと真円度に与える影響について比較・評価した。その結果,それぞれのパラメーターが互いに与える影響について確認することができ,パラメーター同士における相関関係を見出すことに成功した。またそれにより,バイオ3Dプリンタでの積層に適した凝集塊の作製条件を確立することにも成功した。 ②上記①において確立した条件を基に,バイオ3Dプリンタで凝集塊を積層し,チューブ状の細胞構造体を造形することにも成功した。また,造形した構造体について力学的特性を評価した結果,伸展刺激に十分耐え得る構造体を,短期間で作製することに成功した。また,当該構造体を組織学的にも評価した結果,細胞外基質として主に不規則に分布するⅠ型コラーゲンが確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究において今年度は,ヒトiPS細胞由来中胚葉系細胞などを増殖させて細胞凝集塊を作製した上で,バイオ3Dプリンタにより凝集塊を積層することで,チューブ状の細胞構造体を造形し,当該構造体に関する力学的および組織学的特性を評価することに成功した。今後は,造形した構造体に対して,自動伸展循環培養容器を用いて伸展刺激を与えながら,靭帯への分化誘導因子と共に培養することで,靭帯組織体を創出することに取り組む予定である。
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