研究課題/領域番号 |
22H03207
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
池川 志郎 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー (30272496)
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研究分担者 |
郭 竜 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 副チームリーダー (50784055)
王 錚 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 研究員 (90794313)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ゲノム / GWAS / 運動器疾患 / 遺伝的関連 / コホート |
研究実績の概要 |
運動器疾患には、共通の症状・症候が存在し、多くの患者で複数の運動器疾患や共通の病態(軟骨変性、慢性炎症、骨量減少など)の合併が見られる。これは、「ロコモティブシンドローム」として臨床的には周知の事実であるが、その分子基盤は未だ不明である。本研究では、多数の運動器疾患のGWAS (Genome-Wide Association Study)を統合した GWAS、運動器 multi-disease GWAS(MD-GWAS)を行ない、運動器疾患の遺伝性、分子病態を包括的に解明する。 2022年度には、すでに成功してデータを確保している7つの運動器疾患の GWASを核として、国内・外のコホート研究と協力し、運動器疾患のGWASデータを収集・統合・整理・再構成した。この内、脊椎後縦靱帯骨化症においては、MENTR法をはじめとする post GWAS解析とそれに続く in vitroの実験解析により、新たな疾患感受性遺伝子 CCDC91 (coiled-coil domain containing 91)を発見し、その分子病態を明らかにすることに成功した(Nakajima M et al. Am J Hum Genet 2023)。更に、島根大整形外科・内尾教授を中心とするグループによる Shimane CoHRE Study、順天堂大学整形外科・石島教授を中心とするグループによる Bunkyo Health Study、など既存の GWAS研究との協力体制を確立し、運動器疾患 GWASの数を6つ増やすことができた。これらの GWASデータを元に、各疾患の共通項のデータの融合(サルコペニア、骨密度など)、疾患亜型の分離(関連疾患別の大腿骨頭壊死など)を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に確保していた7疾患、計3万人の臨床情報、ジェノタイピング データを用いて、様々な post GWAS解析、Omics解析を行なった。後縦靱帯骨化症については、post GWAS解析とそれに続く in vitroの実験により、新たな疾患感受性遺伝子 CCDC91の発見に成功している(Nakajima et al. 2023)。 目下、新たに胸椎後縦靱帯骨化症、膝伸展筋力のサンプル収集を終え、ジェノタイピングを終了し、GWAS解析を行なっている。股関節臼蓋形成不全、サルコペニア、変性性側弯症、SLE関連大腿骨頭壊死についても、順調にサンプル収集中である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、運動器GWAS データの収集、解析、統合を進める。 GWASデータの収集については、特に、海外のゲノム研究者、遺伝統計学研究者、運動器疾患研究者との共同研究を積極的に行う予定。 解析については、第一に、疾患・形質間の遺伝相関の同定を目指す。 発見された相関を各種の遺伝統計学的解析、in vitroの実験で、検証していく。検証された運動器疾患間の共通性に基づき、疾患をグループ化し、そのグループについてのメタ解析などを通じて、グループの特徴を抽出する。
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