研究課題
ヒト胎盤由来細胞におけるエンハンサー・プロモーター相互作用の網羅的解明のためのmicroC解析を実施した。実験系構築のために、マウス9.5日胚をモデル材料としてcapture-microCライブラリを作製しシーケンスデータを解析した。キャプチャーベイトが設定されているマウス遺伝子プロモーター領域以外の配列が高比率で含まれていたことから、プロモーター・エンハンサー(P/E)相互作用の網羅的同定が可能と思われる高品質のライブラリが得られていると判断された。このモデルデータを使って、P/E相互作用データ解析系の構築を進めている。次に、ヒト胎盤幹細胞(TS)、そこから分化誘導した合胞体トロフォブラスト細胞(ST)、絨毛外トロフォブラスト(EVT)のそれぞれについてマイクロコッカルヌクレアーゼによるクロマチン消化条件を最適化し、各細胞についてmicroCライブラリを作製した(合計12ライブラリ)。テストスケールでのシーケンスデータを評価し、遠距離相互作用を捕捉したと判定されるリードを高比率で含むライブラリが取得できていることを確認した。ヒト遺伝子プロモーター領域を標的としたcapture-microCライブラリ(合計8個)の作製を完了した。R6年度にシーケンスデータを取得し、データ解析を実施する。運命決定パイオニア転写因子 (PF) 探索のために必要な5hmC解析の手法として当初は抗5hmC抗体免疫沈降シーケンス法を想定していたが、一塩基解像度で5hmC修飾塩基の同定が可能な方法であるAPOBECシーケンス法についても検討を開始した。
3: やや遅れている
ヒト胎盤由来細胞におけるエンハンサー・プロモーター相互作用の網羅的解明のためのmicroC解析に関しては、概ね予定通りに進んでいる。ヒト胎盤構成細胞の運命決定に関わるパイオニア転写因子候補探索のための5hmC解析に関して方法の変更を決定したことから、R6年度もデータ取得を継続する。
1.ヒト胎盤由来細胞におけるエンハンサー・プロモーター相互作用の網羅的解明:3種類の細胞についてcapture-microCデータを取得し、各細胞を特徴付けるエンハンサー・プロモーター相互作用情報を抽出する。産科・婦人科関連疾患GWASで同定された疾患関連バリアント座位(子宮内膜症GWAS座位は14箇所)とエンハンサー・プロモーター相互作用ゲノム位置情報とを比較し、疾患関連バリアントが作用する遺伝子と細胞タイプの特定を試みる。2.ヒト胎盤構成細胞の運命決定に関わるパイオニア転写因子探索:TS分化誘導系で5hmCデータを取得・解析し、パイオニアファクター候補因子結合ゲノム部位を網羅的に同定する。そのゲノム領域群を対象とした転写因子モチーフ解析やChIP-seqデータとの比較により、パイオニアファクター候補群の同定を試みる。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
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