研究課題/領域番号 |
22H03251
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
金 湘殷 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 特任研究員 (10864762)
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研究分担者 |
貴志 和生 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (40224919)
奥崎 大介 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授(常勤) (00346131)
水野 聖哉 筑波大学, 医学医療系, 教授 (10633141)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 創傷治癒 / 瘢痕 / 炎症 / 空間的トランスクリプトーム / シングルセル分析 |
研究実績の概要 |
本研究では、炎症関連の新規瘢痕遺伝子として特定したIntegrin beta-like 1(Itgbl1)に焦点を当て、瘢痕形成の初期段階における細胞間相互作用及び細胞分化過程における新たな分子機序を解明することを目的としている。本年度の研究成果は下記である: (1)全身性及び細胞特異的Itgbl1 KOマウスを用いた皮膚創傷モデルにおける機能解析を実施した。その結果、Itgbl1の欠損により皮膚創傷治癒が遅延することが明らかとなった。また、ピクロシリウスレッド染色により、創傷部位におけるコラーゲン線維の形成、特にType Iコラーゲン束の形成がItgbl1 KOマウスで顕著に減少していることが明らかにとなった。透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた解析では、創部中心部位の線維束直径が著しく小さくなっていることが観察された。 (2)受傷後3日、7日、14日の皮膚創部組織をシングルセル化し、Chromium(10x Genomics)を用いたシングルセル解析システムでシングルセルライブラリーを調製し、単一細胞レベルでの包括的なトランスクリプトーム解析を行った。さらに、Robust cell type decomposition (RCTD)法(Cable et al., Nat Biotechnol, 2022)を使用し、前年度に得られたVisiumデータ(受傷後3日、7日、14日)とシングルセルデータとの統合分析に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞特異的 KO(cKO)マウスを含む、皮膚創傷治癒モデルマウスを構築し、予定通りに試料採取が完了した。Itgbl1の皮膚創傷治癒過程における機能を詳細に解析し、経時的なシングルセル解析結果から得られた大量の遺伝子発現データを取得した。これにより、発現解析、標的遺伝子の抽出、細胞間シグナル伝達の解析といった包括的な手法を確立することができた。さらに、これらのデータを既存の空間的トランスクリプトーム解析データと統合することに成功し、皮膚創部組織における細胞の位置情報を考慮した新たな解析手法を確立させた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の実績を基に、次年度には以下の3つの実験項目を実施予定である。(1)遺伝子改変マウスを使用した創傷治癒モデルから試料を収集し、瘢痕形成におけるItgbl1の機能評価および、発現細胞の運命を追跡する。(2)ヒトおよびマウス由来の初代培養細胞を用いて、Itgbl1の発現制御機構を明らかにする。(3)統合されたマルチオミクスデータ(scRNA-seq+Visium)を用いて、瘢痕化の起点となる微小環境を特定する。これには、Receptor-ligand analysis (CellChat)やCell-Cell communication for signal direction assay (COMMOT)などの手法を使用し、創部における炎症細胞と線維芽細胞間の相互作用を解析します。
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