研究課題/領域番号 |
22H03253
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
副島 一孝 日本大学, 医学部, 教授 (00246589)
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研究分担者 |
菅原 隆 日本大学, 医学部, 助手 (10895262)
樫村 勉 日本大学, 医学部, 准教授 (20570740)
松本 太郎 日本大学, 医学部, 教授 (50366580)
長崎 敬仁 日本大学, 医学部, 助手 (60935807)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 脱分化脂肪細胞 / 人工真皮 / 真空凍結乾燥 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、脱分化脂肪細胞(Dedifferentiated Fat Cells、以下DFAT)を人工真皮に含浸させて真空凍結乾燥処理を施した創傷治療材 (DFAT含浸 真空凍結乾燥人工真皮)の創傷治癒促進効果を検証することである。今年度は下記を行った。 ①DFATの調整:SD 系ラットから採集した成熟脂肪細胞を、培地を満たしたフラスコで天井培養することで DFAT を単離した。自作簡易減圧浸透装置(象印社製簡易漬物器に圧力計を装着したもの) 内に人工真皮 (Pelnac、コラーゲンスポンジ単層タイプ、GUNZE)を静置し、その上にDFATを生理食 塩水に懸濁させて散布し-10cmHgと-70cmHgでそれぞれ2分間減圧し、その後H-E染色標本を作製して検討した。H-E染色標本で人工真皮断面の表層と下層の単位面積あたりに含浸されているDFAT数を計測したところ、-10cmHg群では表層に9.4±4.9個、下層に4.8±2.9個、-70cmHg群では表層に9.4±1.1個、下層に9±1.7個含浸していた。表層に含浸した細胞数は両群で差が無かったが、下層では-70cmHg群で有意に多く含浸しており、-70cmHgで2分間減圧浸透する方が人工真皮全層に細胞の含浸が得られることがわかった。 ②次いで①の条件で作成したDFAT含浸人工真皮を真空凍結乾燥機CHList(ALPHA1-4/2-4LSCplus, KUBOTA社製)を用いて真空凍結乾燥処理を施した。作成した凍結乾燥品および凍結乾燥品について走査電子顕微鏡で観察を行ったところ、凍結乾燥品では人工真皮のコラーゲンスポンジ内にDFTA細胞が確認された。真空凍結乾燥品ではコラーゲンスポンジ内には生理食塩水から析出したと考えられる塩化ナトリウムの結晶が観察されたが細胞としての形態は保たれていなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、人工真皮内へのDFATの減圧浸透の至適条件を決定し、その条件下で作成したDFAT含浸人工真皮の真空凍結乾燥まで行い得た。得られた真空凍結乾燥品とその前段階の凍結保存品について、人工真皮コラーゲンスポンジ内のDFAT細胞の形態を走査電子顕微鏡で観察したところ、凍結保存状態で確認された細胞は真空凍結乾燥すると細胞形態の残存が確認できなかった。今後、細胞懸濁液の真空凍結乾燥を行うことで、真空凍結乾燥細胞を作成してその細胞形態を走査電子顕微鏡で観察し比較検討を行うことを計画している。
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今後の研究の推進方策 |
8.現在までの進捗状況で述べた通り、細胞懸濁液の真空凍結乾燥を行うことで、真空凍結乾燥細胞を作成してその細胞形態を走査電子顕微鏡で観察し比較検討を行う。また、DFAT含浸真空凍結乾燥人工真皮を生理食塩水に浸漬し、その上精中の生理活性物質(VEGF, bFGF)を定量し、新鮮群、凍結保存群についても同様に定量して生理活性物質の放出能を検討する。更に、micro skinの人工真皮内への含浸も行い、micro graft含浸真空凍結乾燥人工真皮を作成して、同様に生理活性物質放出能を検討する予定である。来年度は動物実験によるDFAT含浸真空凍結乾燥人工真皮の創傷治癒促進能についてin vivoで検討する予定である。
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