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2022 年度 実績報告書

慢性炎症と小胞体ストレスの連関機序と病態への関与

研究課題

研究課題/領域番号 22H03261
配分区分補助金
研究機関大阪大学

研究代表者

村上 智彦  大阪大学, 大学院歯学研究科, 講師 (50510723)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード炎症 / 小胞体ストレス
研究実績の概要

細胞における炎症応答にはNF-κB経路が重要であることが知られている。そこで、骨髄細胞由来マクロファージを用いて、小胞体ストレスによるNF-κB経路への影響を解析した。小胞体ストレス誘導剤としては糖鎖付加阻害薬であるツニカマイシンを用いた。解析の結果、小胞体ストレスがNF-κB経路を活性化させていることを確認した。一方、小胞体ストレスによるNF-κB経路の活性化のみでは少なくともマクロファージの十分な炎症応答には至っていないこともわかった。続いて、NF-κB経路の活性化誘導に直接小胞体ストレス関連転写因子が関与する可能性があるため、主な小胞体ストレス関連転写因子をレンチウイルスシステムを用いてマクロファージに過剰発現させ、NF-κB経路の発現変動を分子細胞生物学的手法に解析した。その結果、小胞体ストレス関連転写因子の過剰発現はNF-κB経路の活性化を誘導しなかった。一方、小胞体ストレスによってLPS誘導性の炎症応答は増強された。この小胞体ストレスによる炎症応答の増強効果は、小胞体ストレス負荷時間に依存して増加した。この結果は小胞体ストレスによる細胞応答が炎症応答の増強に関わっていることを示唆していた。以上から、小胞体ストレスはNF-κB経路を活性化させるものの、単独では炎症応答を十分に誘導しないが、LPSによる炎症応答を増強する作用があることがわかった。また、この小胞体ストレスによる炎症応答の増強作用にはNF-κB経路だけではなく、小胞体ストレス依存的な未同定の経路が関わる可能性を見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

小胞体ストレスと炎症の連関に関わる未同定の経路の存在を見出しており、注力すべきポイントが見えてきた。このように小胞体ストレスと炎症の連関に関わる分子機構の解析が進んでいるため、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

小胞体ストレスによる炎症応答の増強メカニズムの解析をさらに進める。また生体内における小胞体ストレスと炎症の連関を解析するために、マウス炎症モデルにおける小胞体ストレスの関与を調べる。さらに関連する遺伝子改変マウスの作製を行い、マウス炎症モデルにおける関連遺伝子の機能を解析する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [国際共同研究] National Institutes of Health(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      National Institutes of Health
  • [雑誌論文] Semaphorin 4D induces articular cartilage destruction and inflammation in joints by transcriptionally reprogramming chondrocytes2022

    • 著者名/発表者名
      Murakami Tomohiko、Takahata Yoshifumi、Hata Kenji、Ebina Kosuke、Hirose Katsutoshi、Ruengsinpinya Lerdluck、Nakaminami Yuri、Etani Yuki、Kobayashi Sachi、Maruyama Takashi、Nakano Hiroyasu、Kaneko Takehito、Toyosawa Satoru、Asahara Hiroshi、Nishimura Riko
    • 雑誌名

      Science Signaling

      巻: 15 ページ: -

    • DOI

      10.1126/scisignal.abl5304

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Activation and Function of NLRP3 Inflammasome in Bone and Joint-Related Diseases2022

    • 著者名/発表者名
      Murakami Tomohiko、Nakaminami Yuri、Takahata Yoshifumi、Hata Kenji、Nishimura Riko
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 23 ページ: 5365~5365

    • DOI

      10.3390/ijms23105365

    • 査読あり
  • [学会発表] 神経軸索ガイダンス因子Semaphorin 4Dは関節軟骨の非古典的シグナル経路を活性化して関節破壊を誘導する2023

    • 著者名/発表者名
      村上智彦、高畑佳、波多賢二、蛯名耕介、廣瀬勝俊、中南友里、豊澤悟、浅原弘嗣、西村理行
    • 学会等名
      第35回日本軟骨代謝学会
  • [学会発表] 骨軟骨形成におけるGタンパク質サブユニットβ1の機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      村上智彦、高畑佳史、波多賢二、中南友里、西村理行
    • 学会等名
      第40回日本骨代謝学会
  • [学会発表] 小胞体ストレスはリポ多糖に対する炎症応答を増強する2022

    • 著者名/発表者名
      中南 友里,村上 智彦,高畑 佳史,波多 賢二,西村 理行
    • 学会等名
      第64回歯科基礎医学会

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公開日: 2023-12-25  

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