研究課題
小児や高齢者の口腔・鼻咽腔領域で高頻度に認められる肺炎球菌や化膿レンサ球菌は、局所バリアの破綻と免疫回避を経て、遠隔組織で致死性の高い侵襲性疾患を惹起する。そこで、レンサ球菌が定着する口腔や鼻咽腔の上皮細胞もしくは免疫細胞から分泌される細胞外小胞に着目し、細菌の遠隔組織への伝播や病態形成機構との関連を検証することにした。今年度は、インフルエンザに合併するレンサ球菌性肺炎の重症化機構において、インフルエンザウイルスの感染に伴い宿主の細胞外に分泌される小胞が及ぼす影響を検討した。まず、肺胞上皮細胞株にインフルエンザウイルスを感染させ、それにより分泌される細胞外小胞の画分を分離した。次に、インフルエンザ感染細胞または非感染細胞由来の細胞外小胞の画分を、ヒト単球由来細胞株に作用させ、誘導される免疫応答をサイトカインの定量にて評価した。その結果、インフルエンザ感染細胞由来の細胞外小胞の画分は、インフルエンザ非感染細胞由来の細胞外小胞の画分と比較して、ヒト単球由来細胞株に対して特定のサイトカイン発現を誘導することを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
肺胞上皮細胞株より得たインフルエンザ感染細胞由来の細胞外小胞の画分は、インフルエンザ非感染細胞由来の細胞外小胞の画分と比較して、ヒト単球由来細胞株に対して特定のサイトカイン発現を誘導することを明らかにしているため。
今年度に同定した現象のメカニズムについて、シグナル伝達経路の関与やサイトカイン同士の相互作用の観点から同定を試みる。さらには、in vivoにおいて、同様の現象が生じているかおよびレンサ球菌ニッチ拡大機構への関与を検討するために、インフルエンザと肺炎レンサ球菌の重複感染マウスモデルを用いて評価する。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 4件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
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