研究課題/領域番号 |
22H03268
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 雄介 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (60397693)
|
研究分担者 |
岡本 基岐 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (60755354)
蟹江 慧 近畿大学, 工学部, 准教授 (80636407)
渡邉 昌克 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (00909492)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 不可逆性歯髄炎 / 可逆性歯髄炎 / 覆髄材 / ペプチド / ラット / う蝕 |
研究実績の概要 |
研究実施計画に基づいて以下の研究を実施した。 ①歯髄創傷治癒促進作用を持つ機能ペプチドの最適化 従前からの一連の研究で得られた、歯髄創傷治癒を促進する直鎖状ペプチド(アミノ酸配列:KLLETECPQ)の機能の向上および安定化を目的に、1から3アミノ酸を同ペプチドに追加もしくは削除した直鎖状ペプチドを設計・合成した。合成した20種類のペプチドを各々覆髄材として用いて、健全なラット上顎第一臼歯を対象とした直接覆髄実験を実施した。覆髄後2,4週目において、マイクロCTを用いて第三象牙質の形成について評価したところ、オリジナルのペプチドを上回るような第三象牙質の形成は観察されなかった。今後、オリジナルペプチドを基に環状構造ペプチドを設計・合成し、同様の健全ラットを対象とした直接覆髄実験をおこなうことで、ペプチドの最適化実験を完了させる予定である。 ②ラットう蝕由来歯髄炎モデルの確立 14日齢SDラットにStreptococcus mutans MT8148株を経口接種し、高スクロース飼料を不断給餌することで、う蝕を誘発することに成功した。S. mutans接種後、約6週間の時点で象牙質1/3~2/3程度の深さの中等度のう蝕が誘発され、接種後8~10週において象牙質2/3を超えるような深在性う蝕が誘発されることがマイクロCTにて観察され、病理組織学的評価で、前者では軽度の歯髄炎が惹起されており、後者では重篤な炎症増が観察された。また各々の深さのう蝕に対してMTAを用いた直接覆髄をおこなったところ、中等度のう蝕では歯髄の創傷治癒が観察された一方で、深在性う蝕では覆髄後も歯髄の炎症が残存し、可逆性・不可逆性歯髄炎の動物実験モデルの確立に成功した。今後本モデルを用いてに対して、最適化されたペプチドを応用することで、歯髄炎治療を可能とする歯髄保存療法の確立へと実験を展開していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、機能ペプチドの最適化ならびに最適化されたペプチドを、歯髄炎が誘発されたラットに対して覆髄材として用いる実験をする予定であったが、ペプチドの最適化に予定よりも時間を要したため、計画よりも若干進捗が遅れている。今年度は当初の予定通り、ラットう蝕モデルに対して最適化ペプチドを用いた覆髄実験およびその詳細なメカニズムを解析する予定としている。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、機能ペプチドの環状化および健全ラット対象の直接覆髄実験によってペプチドの最適化は早期に完了予定である。 その後、可逆性・不可逆性歯髄炎ラットを対象とした直接覆髄もしくは断髄実験を、最適化ペプチドを覆髄材として用いることで実施し、誘導される第三象牙質の評価をマイクロCTを用いて実施するとともに、病理組織学的評価にて歯髄炎からの創傷治癒について解析を実施する予定である。
|
備考 |
上記につき、プレスリリースを実施した
|