研究課題/領域番号 |
22H03270
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
前田 英史 九州大学, 歯学研究院, 教授 (10284514)
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研究分担者 |
友清 淳 九州大学, 大学病院, 講師 (20507777)
濱野 さゆり 九州大学, 歯学研究院, 助教 (40757978)
小幡 純子 九州大学, 歯学研究院, 助教 (70759448)
杉井 英樹 九州大学, 歯学研究院, 助教 (80802280)
糸山 知宏 九州大学, 大学病院, 助教 (50884433)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | SOD2 / ヒト歯髄細胞 / 老化 |
研究実績の概要 |
ヒト歯髄細胞における老化の影響を解析するため、まずプライマリーのヒト歯髄細胞を用いて、分裂回数(PD)が7の増殖能が高い細胞と、継代培養を繰り返すことで増殖能が低下したPD31の細胞を用意し、それぞれ若年のヒト歯髄細胞(yHDPC)および老化ヒト歯髄細胞(sHDPC)として研究に供した。なお、sHDPCは、yHDPCと比較して、老化マーカーであるp16, p21, p53、およびSA-beta galの発現が亢進するのを確認した。 yHDPCおよびsHDPCにおけるSOD2の発現について比較した結果、sHDPCにおいて発現が低下することが明らかになった。一方、yHDPCにおけるSOD2の遺伝子発現を低下させると、老化マーカーであるp16, p21, p53の発現が亢進し、さらにSOD2が局在するミトコンドリアにおいてもその障害マーカーであるGDF15の発現が上昇した。以上のことから、SOD2は歯髄細胞の老化に関わる重要な因子で、活性酸素がこれに関与する可能性が示唆された。 次に、私たちの以前の研究で、ヒト歯髄細胞は老化に伴って、個々の細胞の象牙芽細胞様細胞への分化能が高くなることを報告している(Nozu et al. 2018)ことから、SOD2発現がyHDPCの象牙芽細胞様細胞分化に及ぼす影響ついて解析した。その結果、象牙芽細胞のマーカーであるDSPP, Nestin, OCNの発現、さらに石灰化が促進することが明らかになった。以上のことから、SOD2の発現は老化した歯髄細胞の象牙芽細胞様分化に関与することが示唆された。 以上については、令和5年度開催の第46回日本基礎老化学会大会にて報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高齢者の歯髄細胞の研究を計画しているが、条件として歯科疾患のない健全な歯を抜歯するケースがほとんどないため、その面での研究が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
高齢者の歯髄細胞を入手できる病院の範囲を拡大し、できる限り多くの歯を入手することを検討している。しかしながら、入手が困難である場合は、高齢動物の歯髄細胞を代用として用いることも検討している。これを利用して以下の研究を実施する。I. 象牙質/歯髄複合体の加齢変化の解析として、若齢者と高齢者の象牙質/歯髄複合体について、オートファジー・マイトファジー関連因子の発現の比較解析およびSOD2、mTORC1およびp53の発現の比較解析を行う。II. SOD2-KOマウスを用いて、SOD2-KOマウスと、正常高齢マウスおよびヒト象牙質/歯髄複合体の加齢変化との類似性について比較検討を行う。III. mTORC1の象牙芽細胞の加齢への影響の解析を行う。
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