研究課題
2023年度は、日英でのシミュレーションデータ収録、1つの論文掲載、5つの学会発表(うち3つは海外学会、ポスター発表3を含む)を行った。2023年度前半は、日英にて2つの視線解析メガネ(医師と看護師が着用)と360カメラを使用し、小規模医療シミュレーション訓練データの収録を行った(6月に日本で3セッション、8月にUKで2セッション)。また日本での麻酔科シミュレーション・データをもとに、情報提示行為と視線追従行為を用いた共同基盤構築の過程を分析した論文をLanguage and Health創刊号に寄稿し、掲載された。2023年度後半は、情報工学を専門とする研究分担者と研究室に所属する若手研究者が、深層学習を用いた視線解析支援システムに着手した。2つの視線解析メガネで収録した医師と看護師の視線データを統合的に分析するため、共同注視の対象を自動的にアノテーションするアプリケーションの開発を進めている。またシミュレーションの映像データから、複数医療者の頭部姿勢を推定するアプリケーションの開発も進めている。研究成果の一部を RCEM (Royal College of Emergency Medicine) Annual Scientific Conference 2023(9月)、ヘルスコミュニケーションウィーク2023(10月)、第18回医療の質・安全学会 学術集会(11月)、 CGIP(Computer Graphics and Image Processing) 2024 (12月)にて発表した。年間を通して、日本・英国の協力者とのプロジェクト・ミーティング(各3回)を行い、日本の病院での視察も継続している(計8回)。
2: おおむね順調に進展している
日本でのデータ収録はほぼ予定通りに進んでいるが、UKでの倫理承認に予想以上に時間がかかり、予定していた医療シミュレーション・シナリオの変更や進捗の遅れが生じている。
2024年度前半は、これまで日英で収録したデータをもとに、医療チーム相互行為を共同注視と共通基盤構築に注目し分析を進め、論文投稿準備を進める。研究結果の一部を、ESTIDIA (European Society for Transcultural and Interdisciplinary Dialogue) Conference 2024にて発表予定(6月、ヴィリニュス、パネルセッションの企画)であり、またInternational Forum of Quality and Safety Healthcare Conference 2024 (8月、香港)、EUSEM (European Society of Emergency Medicine) Confernece 2024(10月、コペンハーゲン)に抄録を投稿済みである。研究協力者とともに、複数視線データの自動アノテーションと頭部姿勢推定のためのアプリケーション開発を継続し、またそれらを活用して医療チーム相互行為のマルチモーダル分析手法の確立を目指す。研究代表者が2024年9月から1年間サバティカルを取得し在外研究に入るため、2024年度後半から2025年前半にかけて、研究プロジェクトの進捗を遅らせる予定である。
すべて 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)
Language and Health
巻: 1(1) ページ: 10-31
10.1016/j.laheal.2023.06.003
https://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~ktsuchiy/wp/index.php/eye-work-project/