研究課題/領域番号 |
22H03340
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
中山 勝文 立命館大学, 薬学部, 教授 (20453582)
|
研究分担者 |
守田 匡伸 東北大学, 医学系研究科, 講師 (10519094)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 環境炭素微粒子 / マイクロプラスチック / マクロファージ / Tim4 |
研究実績の概要 |
これまでに我々はカーボンナノチューブ(CNT)を認識する免疫受容体としてT cell mucin immunoglobulin (Tim) 4を同定し、Tim4の細胞外芳香族アミノ酸クラスターとCNT表面とのaromatic-aromatic interactionが安定して結合することを明らかにしてきた(Omori et al., Cell Rep., 2021)。この結合様式から我々は、Tim4はベンゼン環を主体とするポリスチレン(PS)マイクロプラスチックも認識するのではないかと考え、本研究でその可能性を検討した。PSマイクロプラスチックとして平均粒子径0.1 umおよび0.8 umのPS粒子を用い、Tim4への結合を解析した結果、両PS粒子ともTim4の芳香族アミノ酸クラスターに結合することが判明した。さらにこれらPS粒子がCNTと同様に炎症を引き起こすか否かについてマウスマクロファージを用いて検討した。その結果、CNTを取り込んだマクロファージは炎症性サイトカインのIL-1betaの分泌を顕著に誘導したが、PS粒子を取り込んだマクロファージはほとんど誘導しなかった。これらの結果は、PSマイクロプラスチックはCNTと同様にTim4を介してマクロファージに取り込まれるが、CNTとは異なり、顕著な急性炎症を引き起こす危険性は低いことを示唆する(Kuroiwa et al., Sci. Total Environ., 2023)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、Tim4の炭素微粒子認識機構に焦点を当てて、Tim4が新たにPSマイクロプラスチックを認識することを明らかにすることができた。さらに1年目に計画していたTim4の芳香族アミノ酸クラスターと類似三次元構造をもつ受容体のin silico探索も順調に進み、すでに新たな受容体も同定している。これらのことからおおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
Tim4およびSiglec-5/14の環境炭素微粒子の認識機構についてマウスを用いた個体レベルでの研究を進める。とくにSiglec-5/14はマウスには存在しないため、それら受容体を導入したマウスを作成し、環境性肺疾患におけるSiglec-5/14の病理的役割を明らかにする。
|