研究実績の概要 |
申請者らは、マウス受精卵においてゲノム編集を実施した際に、およそ20%の胚の DNAの二重鎖切断 (DSB ; DNA double strand break) 部位(オンターゲットサイト)にレトロトランスポゾンや内在性レトロウィルス、内在性遺伝子の逆転写産物、および CRISPR/Cas9 プラスミドの DNA 断片が挿入されるオンターゲットリスクが存在することを報告している(Ono R., et al., Scientific Reports, 2015)。さらに、エクソソームを介して他動物種より細胞に取り込まれた mRNA の逆転写産物が、オンターゲットサイトに取り込まれる、すなわち、エクソソームを介した遺伝子水平伝搬機構が存在することを明らかにしている(Ono R., et al., Communications Biology, 2019)。
この様な非意図配列の挿入(オンターゲットリスク)は、ゲノム編集遺伝子治療の大きな障害となると同時に、COVID-19のワクチンとして使用されている mRNA ワクチンの逆転写産物がゲノム中に挿入される可能性を示唆している。そこで、本研究の目的は、ゲノム編集の際にオンターゲットサイトに非意図配列および mRNA ワクチンの逆転写産物が挿入するオンターゲットリスクの可能性を検討し、それらを回避する手段の開発である。 2022年度研究においては、デジタルPCRを利用したmRNAの逆転写効率の検出方法の開発を行なった。また、モデルmRNAの合成を行ない、マウス受精卵に実際にモデルmRNAのインジェクションを行なった。
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