研究課題/領域番号 |
22H03412
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
塩見 美抄 京都大学, 医学研究科, 准教授 (10362766)
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研究分担者 |
吉岡 京子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (00708951)
降籏 隆二 京都大学, 環境安全保健機構, 准教授 (40727830)
細川 陸也 京都大学, 医学研究科, 講師 (70735464)
平 和也 京都大学, 医学研究科, 助教 (70804847)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 尺度開発 / 統合失調症 / セルフアセスメント / 地域生活 / well-being |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、統合失調症の人の「調子」の概念を明確化すると共に、統合失調症の人がポジティブ・ヘルスの観点を含めて自身の「調子」を妥当にアセスメントできるための尺度を開発することである。 研究1年目である2022年度は、文献レビューによって、統合失調症の人の「調子」の概念を明確化すると共に、統合失調症の人の自己アセスメント尺度を収集・統合し、「調子」の査定因子の収集を試みた。 ①統合失調症者の「調子」に関連する概念の明確化:医中誌WebとPubMedを用いて検索し、15件の論文を抽出した。「調子」の構成概念をRogersの属性、先行条件、帰結の枠組みに沿って分析した結果、属性からみた統合失調症の人の「調子」は、「自己概念」「未来指向性」「現状認識」「自己の機能性」「感情・気分」「病状」で構成されていた。先行条件として「肯定/否定感情」「ソーシャルサポート」の程度、「社会の価値と許容力」「ストレッサー」の程度、「治療」の有無や質、「自活力」があり、それらが良好な状態にあると、「新たな自己」、「生き方の定まり」、「社会の一員」などの帰結に至ることがわかった。 ②統合失調症の人の自己アセスメント尺度に関する文献レビュー:PubMedを用いた検索の結果、14件の自己アセスメント尺度が抽出できた。その内、5件は症状を評価するものであり、その他はストレス、認知機能、日常生活機能を測るものが2件ずつと、服薬遵守、主観的主体性、リカバリーを測るものが1件ずつであった。症状の評価因子はうつや妄想などのネガティブなものが多く、社会的側面を評価する尺度は3件のみであった。既存の尺度を統合するだけでは、ポジティブ・ヘルスの観点を含めた「調子」を測定することはできず、尺度項目の更なる収集が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究協力機関との調整や倫理審査に、想定以上の時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に実施できなかった、統合失調症の人とその支援者へのインタビュー調査は、倫理承認後速やかに実施し、2023年度の上半期で統合失調症者の人の「調子」尺度案を完成する。並行して尺度案の信頼性・妥当性の検討のための研究フィールド調整を開始し、尺度完成後早期に次の研究過程に進めるよう整える。 今後は、2023年度に尺度案の信頼性・妥当性を検討した後、2024年-2025年にかけて尺度の有効性の前向き調査を実施する計画である。
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