| 研究課題/領域番号 |
23K24681
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| 配分区分 | 基金 |
| 研究機関 | 神戸市看護大学 |
研究代表者 |
神原 咲子 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (90438268)
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| 研究分担者 |
宮川 祥子 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 准教授 (00338203)
山岸 暁美 一般社団法人コミュニティヘルス研究機構, コミュニティヘルス研究部, 機構長 (30433626)
宮崎 浩之 東京大学, 空間情報科学研究センター, 客員研究員 (80764414)
小澤 若菜 高知県立大学, 看護学部, 准教授 (90584334)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2026-03-31
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| キーワード | 災害看護 / パーソナルデータ / 減災 / セルフケア |
| 研究実績の概要 |
本研究は、災害看護の視点から、災害リスク下における個人の「災害時要配慮」すなわち「脆弱性の認識」を、合意形成のプロセスを通じてデータとして可視化し、減災に活用する新たなモデルの構築を目的とするものである。まず、過去の災害事例や災害時イマジネーションワークをもとに、災害時の健康危機におけるリスク条件をシミュレーションし、地域住民や関係者がそれをどのように「認識」し、「合意形成・意思決定」を経て「行動」に移すかを、レジリエンス行動としてデータ化することを試みている。 本年度は、2024年能登半島地震を事例に、既存の個票データや情報収集フォーマットを調査し、現場でどのようなデータが活用されていたのかを明らかにした。さらに、初動対応者との意見交換を通じて、データ運用プロセスを確認するとともに、実際に活用された被災者データベースの有効性についても検討を行った。これらの調査結果を踏まえ、健康・疾病情報や緊急時行動計画を含むデータ連携の在り方を検討し、住民自身が入力する個票の出力様式についても試作を進めた。また、地域住民を対象としたワークショップを通じてニーズを把握し、得られた成果は随時、学会等で発表・共有している。今後は、これらの成果を災害・防災ビッグデータとして発展させ、市民科学的な防災活動にどう活用していくかが重要な課題となる。最終的には、災害時の自助・共助・公助が連携する、エビデンスに基づく減災ケアリングモデルとしての展開を目指す。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の出発点である「災害時要配慮者の脆弱性認識を可視化する」という目的が、特に2024年能登半島地震という具体的な災害を事例に据えることで、現場に即した実証的なデータ収集が可能となり、課題の現実味と解決への理解につながり、災害看護・地域防災・公衆衛生の現場ニーズと合致しており、自治体や保健所、医療機関などの関係機関から議論の場が得られ実効性が高まっている。 さらに、災害関連学会や市民に対する講演を通じて随時発信することで、社会実装への期待や実用性に対するフィードバックを即時に得られており、研究の方向性と進行が適切に調整されていることも、進捗の順調さに寄与した。
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| 今後の研究の推進方策 |
2024年能登半島地震で得られた知見をもとに、地域特性に応じた災害関連死と脆弱性の多様性を明らかにする。これにより、柔軟な実装モデルの両立が可能となる。 また住民参加型のワークショップや地域訓練への連携を拡充し、災害時個別計画の作成支援を通じて、研究成果を住民の具体的な行動変容へと接続させる。特に視覚的なフィードバックツールの導入も検討する。行政・医療・保健・教育分野の多機関連携体制を強化し、データ運用の社会的合意形成と法的整備を図る。とくに、個人情報保護の観点から、自治体との連携による倫理的・制度的枠組みの確立を重視する。さらに、市民科学(Citizen Science)の視点を取り入れ、データを住民自身が理解し、活用できる形での循環モデルを構築することで、持続可能な減災ケアリング体制の定着を目指す。これらの取り組みにより、自助・共助・公助が連動するエビデンスに基づく減災モデルの社会実装を加速させたい。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた住民用入力ツールの設計に関しても、より多様な地域対応を可能とする仕様への変更が必要となり、設計フェーズを次年度に繰り越すこととなった。繰り越し分を活用し、以下の活動を重点的に実施する予定である。まず、延期された地域ワークショップを複数地域で実施し、住民参加型の災害時個別計画の作成支援とフィードバックの収集を行う。また、ICTを活用した個票入力・管理ツールのプロトタイプを完成させ、実際の地域防災訓練や教育活動と連動させて検証する。
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