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2022 年度 実績報告書

冬眠動物の“衰えない筋肉”をヒントにした新たな骨格筋萎縮予防戦略の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22H03439
配分区分補助金
研究機関広島大学

研究代表者

宮崎 充功  広島大学, 医系科学研究科(保), 准教授 (20632467)

研究分担者 坪田 敏男  北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (10207441)
山口 良文  北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (10447443)
渡邊 正知  福山大学, 薬学部, 准教授 (30306203)
下鶴 倫人  北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (50507168)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード冬眠 / 骨格筋 / ハムスター / ツキノワグマ / タンパク質代謝
研究実績の概要

冬眠動物には、5-6ヵ月におよぶ冬眠前後で筋肉量や筋力がほとんど衰えない、骨格筋萎縮耐性ともいえる未解明の生理機能が存在する。本研究では冬眠を「長期間の身体不活動状態の継続」と捉え、冬眠動物がどのような適応機構を用いて骨格筋萎縮耐性を獲得するのかを解明し、さらに非冬眠動物のマウスで “衰えない筋肉” を再現させる。ヒトの寝たきり防止を可能とする介入戦略の開発を最終ゴールに見据えて、冬眠動物が有する骨格筋萎縮耐性の獲得機構を解明し、非冬眠動物でそれを再現することが本研究の目的である。
上記の目標を達成するために、本研究では特に課題1) 冬眠動物の骨格筋に共通して発現誘導・抑制される遺伝子群(DEGs)の網羅的解析を基盤とし、課題2) 骨格筋衛星細胞を用いて冬眠誘導性遺伝子の発現制御による筋タンパク質代謝調節機構を明らかにする。さらに課題3) 冬眠誘導性遺伝子のマウス骨格筋でのin vivo機能解析を通じ、冬眠動物の骨格筋萎縮耐性能を非冬眠動物であるマウス骨格筋で再現させる。研究開始初年度である2022年度においては、上記の課題1)を中心に研究を遂行し、クマとハムスターという2種類の冬眠動物の骨格筋における冬眠誘導性遺伝子の探索を完了させた。また、課題2)の遂行に必要となる冬眠動物骨格筋からの組織幹細胞単離方法についても実験手法を確立させ、冬眠誘導性遺伝子による筋タンパク質代謝制御機構の解析にも着手している。本年度において取得された知見については、すでに一部を原著論文として公開済みである(Miyazaki et al., Scientific Reports, 2022)。今後は獲得された冬眠誘導性の筋萎縮耐性候補遺伝子について、同遺伝子を骨格筋細胞に発現させて機能解析を行い、冬眠期の「衰えない筋肉」という形質を獲得・維持させている因子を同定する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究開始初年度である2022年度においては、上記の課題1)を中心に研究を遂行し、クマとハムスターという2種類の冬眠動物の骨格筋における冬眠誘導性遺伝子の探索を完了させた。また、課題2)の遂行に必要となる冬眠動物骨格筋からの組織幹細胞単離方法についても実験手法を確立させ、冬眠誘導性遺伝子による筋タンパク質代謝制御機構の解析にも着手している。本年度において取得された知見については、すでに一部を原著論文として公開済みである(Miyazaki et al., Scientific Reports, 2022)。
研究計画書にて提案したスケジュール通りに研究が遂行されており、また本研究成果の一部は原著論文として公開されていることから、本研究は概ね順調に進展していると判断される。

今後の研究の推進方策

2023年度においては、研究計画に従い獲得された冬眠誘導性の筋萎縮耐性候補遺伝子のin vitro機能解析を遂行していく。特に骨格筋タンパク質代謝を正に制御する候補遺伝子を同定するため、特にin vitro解析によってスクリーニングされた骨格筋タンパク質代謝制御に関与する可能性のある候補遺伝子については、エレクトロポレーションやウイルスベクターによるマウス骨格筋への強制発現系・ノックダウン系を用いたin vivo機能解析を行う。有力な候補因子については骨格筋特異的遺伝子改変マウスを作出し、廃用性筋萎縮モデル(後肢懸垂やギプス固定)を併用することで、骨格筋萎縮耐性の獲得を可能にする新規因子の同定を目指す。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ツキノワグマにおける冬眠期の筋肉量維持機構の探索2023

    • 著者名/発表者名
      宮﨑 充功
    • 雑誌名

      低温科学

      巻: 81 ページ: 191~198

    • DOI

      10.14943/lowtemsci.81.191

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Regulation of protein and oxidative energy metabolism are down-regulated in the skeletal muscles of Asiatic black bears during hibernation2022

    • 著者名/発表者名
      Miyazaki Mitsunori、Shimozuru Michito、Kitaoka Yu、Takahashi Kenya、Tsubota Toshio
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 12 ページ: 19723

    • DOI

      10.1038/s41598-022-24251-0

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Regulation of protein and oxidative energy metabolism are down-regulated in the skeletal muscles of Asiatic black bears during hibernation2023

    • 著者名/発表者名
      Mitsunori Miyazaki, Michito Shimozuru, Yu Kitaoka, Kenya Takahashi and Toshio Tsubota
    • 学会等名
      日本生理学会第100回記念大会
  • [学会発表] 冬眠動物における骨格筋量維持機構の探索2023

    • 著者名/発表者名
      宮崎充功
    • 学会等名
      第9回骨格筋生物学研究会
  • [学会発表] ツキノワグマ骨格筋における冬眠に伴うタンパク質代謝制御機構の変化2022

    • 著者名/発表者名
      宮﨑充功、下鶴倫人、坪田敏男、北岡祐
    • 学会等名
      第77回日本体力医学会大会
  • [学会発表] がん悪液質に対する運動療法効果に関する基礎研究 -骨格筋の量的変化を制御する情報伝達機構とがん悪液質に伴う機能不全-2022

    • 著者名/発表者名
      宮崎充功
    • 学会等名
      第27回日本基礎理学療法学会学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 寒冷暴露に伴うハムスター骨格筋の萎縮耐性プログラムの発現2022

    • 著者名/発表者名
      宮崎充功
    • 学会等名
      第30回日本運動生理学会大会
  • [学会発表] 冬眠動物の筋肉はなぜ衰えないのだろう?2022

    • 著者名/発表者名
      宮崎充功
    • 学会等名
      第6回 基礎理学療法学 若手研究者ネットワークシンポジウム
  • [図書] Physical Therapy and Research in Patients with Cancer2022

    • 著者名/発表者名
      Mitsunori Miyazaki
    • 総ページ数
      578
    • 出版者
      Springer Nature
    • ISBN
      978-981-19-6709-2

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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